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令和2年4月民法改正による有料老人ホーム等の利用契約書の連帯保証人についての記載の注意点など

さて、令和2年4月より民法(債権法)が改正されることにより、住宅型有料老人ホーム等の利用契約書について、個人が連帯保証をする場合に極度額を定めて契約しないといけないようになります。 全国有料老人ホーム協会のウェブサイトでは、結構前に案内が出ていた のですが、ここにきてたまに問い合わせをいただくようになりました。 民法(債権法)の改正内容自体については、 こちらの法務省のパンフレット に説明があるのですが、なるほど120年近くも改正されていなかったのですね。 このパンフレットの中で、個人的には9ページの職業別の短期消滅時効の例のところが気にかかった訳で、診療報酬債権が3年で時効だったものが原則5年になるだとか、ケースによっては最長10年と書かれているので、昔は3年経過したら貸倒処理をしていたものがそうできなくなるのかなと思った次第です。 さて、話を本題に戻しますと、有料老人ホームの利用契約書で個人に連帯保証人の署名・捺印を求めている施設は、令和2年4月以降は契約更新時に極度額を定めないといけなくなるようです。 令和2年4月以降の新規契約の場合は、最初から極度額の設定が必要でしょう。 更新時に極度額を定めないといけないのかなと思ったのは、 こちらの資料の3ページにそのような表があるから です。 このあたり、 滋賀県のウェブサイトが結構親切 で、契約書様式や参考資料もまとめてくださっています。 では、実際に極度額をいくらに設定して合意すればよいのかという点もあるかと思いますが、これもお互い指標が分からない場合もあるかと思いますので、この 国土交通省の参考資料が便利 です。 居室の賃料に応じた平均値や中央値が公表されております。 法律はいろいろと改正をされ、そのたびに該当する事項についてはこのように対応が必要になってくる訳ですが、この有料老人ホーム等の利用契約書の件については、案外盲点なのでは、気が付いていない施設も相当数あるのではないかなと思います。

令和元年度の企業主導型保育事業の指導監査について

さて、平成30年度まではパソナの厳しい指導監査を受けてきた企業主導型保育事業ですが、令和元年度はなかなか指導監査が行われておりません。 と言いますのも、平成30年11月に国会でこのような質問がなされた結果、利益相反の問題が議論されたからです。 平成30年11月20日提出 質問第70号 企業主導型保育事業の助成業務における利益相反等に関する質問主意書 結局のところ、この質問などがきっかけとなり、公益財団法人児童育成協会とは他の団体に事業の管理を任せるべきではないかとか、パソナに指導監査を委託するのはダメなのではないかというお話になってきたわけです。 すでにパソナは平成31年3月末をもって指導監査の委託契約は解消しているので、令和元年度は内閣府か公益財団法人児童育成協会が指導監査をすることになっているのですが、内閣府が直接指導監査を行っているとは聞いたこともなく、公益財団法人児童育成協会には指導監査担当員が20名も在籍していないという話もあり、現在、4,887の申請がある施設について、すべてを1年以内に監査することは実質的に不可能な数字となっております。 当社は北海道から沖縄までクライアントさまがあるのですが、当社のクライアントさまの企業主導型保育園については、令和元年度は1軒しか指導監査が行われておりませんでした。 いまだに公益財団法人児童育成協会に代わる実施機関は公表されませんが、指導監査もどんどん遅れており、どうなるのかなといったところです。

企業主導型保育事業費補助金(間接補助金)に係る補助事業者(実施機関)の公募について

さて、企業主導型保育事業については、内閣府の こちらのウェブサイト にもある通りで、11月29日期限で実施機関の公募申請が行われたかと思います。 この公募の結果について、いまだに何の発表もなく、相変わらず公益財団法人児童育成協会が実施機関として企業主導型保育事業を管理している訳ですが、一体いつになったら公募の結果が発表されるのでしょうか? 今のところどれだけの応募数があったのか分かりませんが、予定では内閣府が設置する「点検・評価委員会(仮称)」が書類を審査し、その審査結果をふまえて内閣府が決定することになっています。 公募申請書類は8部用意することとありましたので、「点検・評価委員会(仮称)」は8名の委員で構成されているのでしょう。 実際、8名の委員は この資料 にてお名前が公表されております。 この実施機関の選定も含めて、新規施設の助成決定についてのスケジュール感は、 こちらの資料の質問④のところ に記載があります。 これを改めてかみ砕いてみますと、 ① 年内又は年明けに実施機関を選定 ② 実施機関と内閣府が具体的な体制について調整後、速やかに新規施設の募集を開始 ③ 令和2年度第1四半期のできる限り早期に審査を開始し、助成決定 と書かれております。 まず、この①が終わっておりません。 今日は2月9日ですが、年明けっていつなのでしょうか?? 辞書を読むと、 「年が明けたはじめのころ。」 とあります。 うーん、もういいでしょう。 ちなみに③のところを穿って読むならば、 「第1四半期のできる限り早期 → 6月から審査開始でもよい → 新規施設の応募期限は5月末でも問題ない」 ということも言えるかと考えております。 とは申しましても、やはりできうる限り早めに準備しておくことは大切です。 次回の新規施設の募集は 児童25,000人分 とのことですが、前回みたいに一気に募集すると審査がパンクするでしょうし、2回ぐらいに分けて募集をするかもしれませんね。 そのことも、 同じ資料の質問④のところ に書かれております。 「審査業務が一時期に集中しないよう、例えば、  ・段階的な新規施設の募集を行うこととする  ・新規申請施設の審査の着手に当たって、優先順位を設ける などの工夫を行...

2020年 あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。 2020年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 当社は医療・福祉のコンサルティングを主体として活動をし続けておりますが、2020年はどんな年になるのか、予想をしてみたいと思います。 (あくまでも予想ですのであしからず。) 報酬改定で考えますと、令和2年度は 診療報酬改定 のみなのかなと思いますが、薬価が下げられてしまう傾向は変わらず、入院についても在院日数を短くすることについて評価がなされること、オンライン服薬指導やICT活用、医療機関同士の連携を評価することなどが謳われているように思います。 一時期は 地域医療連携推進法人制度 のことが結構トピックになったこともありましたが、 令和元年11月29日現在ですと、全国で15法人 にとどまるようです。 ただ、せっかくなので愛知県や滋賀県の地域医療連携推進法人の医療連携推進方針を見てみましたら、 愛知県の尾三会はなんと30もの参加法人、参加病院が あり、当社とかかわりのある参加法人も2法人が参加されていました。 ちなみに 滋賀県の地域医療連携推進法人滋賀高島 は、その名の通り滋賀県高島市の法人のようで、高島市も参加していて、全部で5つの医療機関で構成されているようです。 この地域医療連携推進法人は医療機関だけでなく、特養など介護施設も参加できる仕組みにはなっているのですが、それぞれ法人の事情もあるでしょうし、なかなか連携は進まないかもしれませんね。 こうなると、やはり一人の経営者が医療福祉を地域展開していくパターンや、複数人の役員が役割分担をしながらその地域で医療福祉を地域展開していくケースなど、いわゆるカリスマ経営者が力強くリードしていく流れが今後も続くのかなとは思います。 医療については基本的には医師でないと展開できませんが、福祉は介護保険サービス、障害福祉サービス、保育サービスなど、福祉事業のマネジメント人財であれば、福祉軸での展開ができます。 2020年は、介護保険サービスと障害福祉サービス、医療機関と保育サービスなど、いろいろな組み合わせの横展開が一層活発化していくと予想しております。 こうした動きの中で課題となってきますのは、各事業の管理運営、各事業の収支確保、法人グループ全体の資金繰りと会計管理、そして当然ですが人財定着と人財確保が...

企業主導型保育事業 平成31年4月から令和元年9月の運営費単価および加算について

昨日付で、企業主導型保育事業の平成31年4月から令和元年9月の間の運営費の単価表が発表されましたね。 11月1日に発表された令和元年度の助成要綱における単価は、消費税率が上がった10月からの単価であり、9月までの単価とはまた異なるという形になるようです。 この事業は常にややこしくなるのが運命なのかと思いますが、当社は岐阜市に本店がございますので、岐阜市の企業主導型保育園 定員12名の園を例にして、収入への影響をシミュレーションしたいと思います。 <例>  岐阜市 地域区分 6/100   定員12名 中小企業   保育士比率100% 週6日11時間開所  0歳児 3名  1歳児 4名  2歳児 5名 1 基本単価の推移            30年度単価  31年4月~1年9月  1年10月~2年3月      0歳児    288,540円/月    290,640円/月    290,960円/月    1,2歳児  212,580円/月    214,020円/月    214,260円/月    0歳から2歳児の基本単価は増収しています。  30年度単価から31年度下半期の単価への増額は、  0歳児については 2,420円  1,2歳児については 1,680円  という金額になります。    31年度は上半期と下半期で単価が異なるのでわかりにくいですが、増収額としましては、  0歳児3名 (上半期増収分2,100円×6か月+下半期増収分2,420円×6か月)×3名       =81,360円  1,2歳児9名(上半期増収分1,440円×6か月+下半期増収分1,680円×6か月)×9名       =168,480円 ということになり、年間で249,840円の基本単価増収になります。(年を通して満員の場合)・・・①  次に主な加算金額についてもシミュレーションしていきます。 2 加算の推移                 30年度単価    31年度上半期       31年度下半期  連携推進加算      4,543,000円      4,593,000円     4,593,000円...

厚生年金の対象拡大について

このところ厚生年金の対象拡大に関するニュースが出ておりますね。 ● 厚生年金の対象拡大 個人事務所で働く数万人 ● 51人以上の企業に厚生年金 個人事務所で働く数万人と、51人以上の企業に適用した場合の65万人、合計すると70万人ほどが新しく厚生年金への加入義務が生じてくることになるのでしょうか。 たしかに弁護士事務所や公認会計士事務所、社労士事務所など、なんだか社会保険への加入を指導するような士業の事務所が加入しなくてよいというのも変な感じはしますよね。 昔の価値観で決まったことなのかなという感じも受けますが、歴史を知らないので何とも言えません。 また、51人以上の企業で働くパート従業員も厚生年金に加入するとなると、中小企業にとっては結構な負担増になるとは思います。 今までは501人以上でしたので、51人以上になるとかなり対象企業が増えますね。 介護事業ですと、有料老人ホームを2軒ほど運営しているとすぐ対象になりそうです。 中には、子会社をつくって全部従業員50人以下にしようとする企業なども出現しそうな気がしますが、そういった事例を防ぐような法令改正を行うかもしれませんね。 厚生年金については、同時に在職老齢年金の減額基準の月収を月額51万円超に引き上げる検討をしているとのことで、なんだか51という数字ばかりなので覚えやすいですが、働く高齢者の収入について厚生年金との調整というしがらみを解いて、一方でパート労働者も対象者としていくという方針の様子です。 これまで、例えば看護師さんで大きな病院に行くと週20時間ほどの勤務でも社会保険に加入できるということで、中小企業が採用時に大企業に負けるということは経験してきましたが、今後はそういったことも起きにくくなってきそうだなと思います。 寿命が延び、働く高齢者が増えている状況で、そういった仕事をがんばっている高齢者の厚生年金はできる限り止まってしまわないように、年金を支給して、その分は中小企業で働くパート職員から徴収するということですと、世代間格差だとか、年金負担のお話なんかもしばらくの間はたくさん出てきそうですね。 ※ 令和2年1月現在 結局この件はまだ検討中のようです。

令和元年度および2年度の企業主導型保育事業の整備費募集について

さて、今月の頭に令和元年度の企業主導型保育事業助成要綱および助成要領、留意事項通知などが発表され、令和元年度の運営費についてはようやく全容が明らかになりましたね。 基本単価や加算は軒並み増額改定されており、医療の診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等報酬が総じて減額改定の傾向にあるなかで、企業主導型保育事業は安定した増額改定であるところに、国家予算の配分方針を感じるところでございます。 特に企業主導型保育事業の処遇改善加算I はかなりの増額改定になりますので、この冬の賞与の検討時期において、今までの職員への配賦金額や、冬季賞与への上乗せ金額を急いで再検討しなければならないでしょう。 また、令和元年度の助成要綱等であるにもかかわらず、この時期に発表されたため、消費税の税率が上がった10月からこの金額になると言っている方がおりますが、私は年度の初めである4月からの分が全て増額になると考えております。 こうした重要な事項が特に説明されないまま助成要綱等が発表されていることについては、もう慣れましたので私は良いのですが、もう少し分かりやすい説明が必要なのではないかと思います。 ( 令和元年11月13日に平成31年4月から令和元年9月までの単価表および加算金額のお知らせが事業者に配布されました。 ) 10月から単価が変わるというようなことを断定的にいろいろなところに拡散して伝えてしまっているような方には、一度、いつから単価が変わるのかしっかり確認を願いたいところです。 ただ、本当に4月からの単価が変わるとなると、 ①月次報告 ②事業変更申請後の月次報告再申請 というように取り組んでしまった園の場合は、さらに ③令和元年度助成要綱の金額による再申請(月次報告で行うのか年度完了報告で精算するのか?) という事務がまた発生する訳です。 こうならないためにも、年度が始まる前に次年度の助成要綱等を発表していただきたいところです。 診療報酬や介護報酬・障害福祉サービス等報酬と同じように、2年とか3年とかで単価改定するスパンでないと、はっきり申し上げて行政や実施機関も大変ですよね。 さて、令和元年度の運営費については、こうした増額改定のほか、運営支援システム導入加算という、IT補助金にそっくりな加算の誕生がトピックになるかとは思い...