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【介護保険サービス】同一建物減算は「制度の限界」のサイン?—訪問介護・通所介護の新しい報酬体系と、医療・障害との連携を考える

さて、10月14日と19日の介護給付費分科会で、通所介護と訪問介護の「住まいの形態に合わせた報酬の在り方」が論点に上がりました。 資料を読んで私が感じたのは、同一建物減算という仕組みそのものが限界を迎えているのではないか、ということです。 今日はその数字を見ながら、弊社なりの提言をお話しします。 まず通所介護の資料から、注目すべき数字を挙げます。 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001759344.pdf 令和8年度の老健事業の調査(速報値)で、利用者一人あたりの月間請求単位数を主な送迎手段別に見ると、事業所車両で送迎している利用者は中央値7,091単位。 これに対して徒歩で通所している利用者は9,405単位、送迎を行っていない利用者は15,939単位です。 送迎がない利用者の方が、2倍以上の単位数を使っているわけです。 事業所単位で見ても同じ傾向です。 徒歩か送迎なしの利用者が25%未満の事業所は中央値7,025単位、75%以上の事業所は13,217単位で約1.9倍。 月に20日以上利用する人の割合は6.0%に対して49.5%、利用日数の中央値は9日から19日へと倍増します。 しかも75%以上の事業所は要介護4・5が36.3%(25%未満の事業所は11.0%)、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲa以上が56.0%(同16.6%)と、重度の方を多く受け入れています。 では、その事業所はどこにあるのか。 徒歩・送迎なし75%以上の事業所では、利用者の64.8%が有料老人ホーム居住者で、87.0%が事業所と同一または隣接敷地内に住んでいます。 事業所から利用者宅までの片道距離の中央値は0.0km、移動時間は2.0分です。 そして同一建物減算の適用率は79.1%です。 つまり「有料老人ホームに併設し、減算を受けながら、重度の方に週5日通ってもらう」というモデルが、すでに一つの業態として確立しているのです。 これは業界関係者からしたら周知の事実ですが、新しいサービス名をつけようと思えばつけるだけかもしれません。 厚労省の対応案は、「現行の減算による評価に代えて、事業所の規模や1回当たりの送迎コストの低さ、サービス利用日数の多さに着目した報酬区分の見直し」ですので、あくまでも、報酬区分の見直しによる対応に留まるのかなとは思い...

福祉事業である場合の最低賃金改定と処遇改善加算の配分―基本給が最低賃金を下回る雇用契約書に従業員はサインしてくれるか

さて、2026年10月1日から、東京都・神奈川県をはじめ多くの地域で令和8年度の地域別最低賃金が発効しております。 東京都は時間額1,280円、神奈川県は1,279円で、いずれも前年から54円の引上げです。 ちなみに私の住んでいる岐阜県は1,121円ということで、56円の引き上げです。 全国加重平均は1,177円、引上げ額は56円となっており、意外と知られていないこともありますが、全ての都道府県が10月1日という訳ではなく、発効日は都道府県によって異なり、最も遅い沖縄県は12月2日です。 従業員を雇用して事業をされている法人におかれましては、新しい最低賃金に合わせて雇用契約を見直し、都道府県によってはすでに新しい契約でスタートしているところかと思います。 ところが、ちょうどこの時期に、従業員から「この契約書にはサインできません」「基本給が最低賃金より少ないのは違反ではないのですか」という問い合わせが、本社や人事部、経営幹部などに寄せられていることがあります。 弊社としてもこの点は事前に危惧しておりました。 最低賃金法の趣旨は分かるものの、できる限り基本給で最低賃金を満たす給与体系を組んでいかないと、これからの人材確保は非常に困難になる、ということは、給与が話題になったクライアントさまのところでは、訪問時にご相談に応じながらお伝えしてきたところです。 あらためて最低賃金法を振り返ると、基本給だけで最低賃金を満たす義務はございません。 基本給に加えて、毎月決まって支払われる手当も含めて1時間あたりの賃金を計算し、それが地域別最低賃金の時間額を超えていれば、法律上は問題ないことになります。 (精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与などは計算に含めません。) ただ、従業員の気持ちとしては、基本給が自分に対する基本的な評価である、という感覚があります。 基本給が最低賃金を下回っていると、違反ではないのかという思いがよぎるのも無理のないことです。 法律的に問題がないことと、従業員の満足度は、まったく別のところにあります。 ですので、事業者は最低賃金について以前よりもっと注意深く検証をしておく必要があります。 本来であれば9月までに全従業員のベースアップの確認を終えておきたいところで、こちらで最低賃金検証一覧表なるものをオリジナルでお作りしたケースもご...

障害児通所支援の報酬改定論点(第65回報酬改定検討チーム)―児童指導員等加配加算の「ほぼ全員算定」と研修体系の行方

  さて、2026年10月5日に開催された 第65回障害福祉報酬改定検討チーム で、障害児支援に係る報酬・基準の論点が示されました。 資料は190ページにおよび、障害福祉サービスの中でも特に議論の多い分野でございます。 今回はこの資料から、児童発達支援・放課後等デイサービスを中心に、私が気になった点を取り上げます。 まず、事業所数と費用額の伸びです。 資料によりますと、児童発達支援は平成24年の2,106事業所から令和7年には14,406事業所へ、放課後等デイサービスは2,887事業所から24,080事業所へと増えております。 費用額も児童発達支援が約2,991億円、放課後等デイサービスが約6,751億円に達しており、障害福祉の予算全体に占める割合がどんどん大きくなっております。 事業所が増え、予算も増えているからこそ、議論が活発になっている印象です。 次に、一番気になる児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算の行方です。 資料のデータでは、2026年3月時点で児童指導員等加配加算を算定している事業所は、児童発達支援で84.7%、放課後等デイサービスで91.6%となっております。 専門的支援体制加算は児童発達支援で52.5%、放課後等デイサービスで46.7%です。 放課後等デイサービスの9割以上が児童指導員等加配加算を算定しているということは、もはやこの加算を算定していなければ事業そのものが成り立たないのではないか、と考えられるような数値です。 つまり、加算が基本単価のごとく「必ず算定しないといけないもの」になっており、加算制度としてのインセンティブが働いていないのではないか、ということです。 資料でも「現行の評価体系を抜本的に見直し、両加算を整理・統合した新たな加算を創設することを検討してはどうか」という方向性が示されております。 ここから先は私の見立てですが、基本報酬とこれらの加算の体系については、次の改定でおそらく変化が訪れると思います。 それから、研修体系の話です。 今も児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者は、基礎研修を受けてから、特例が受けられる方は6か月のOJT、特例が受けられない方は2年間の実務経験を経て実践研修に進む仕組みになっております。 これに加えて、資料では基礎・実践、リーダー、中核人材といった段階...

2026年10月7日期限 企業主導型保育事業の事業計画申請の再確定申請における保育体制強化加算の実施計画書

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もうすぐ期限を迎える企業主導型保育事業の事業計画申請の再確定申請ですが、今回から職員の平均経験年数を集計する必要が生じます。 また、キャリアアップ研修の修了状況をしっかり把握しなけれなりません。 弊社のクライアントさまにおかれましては、事前にご案内時にキャリアアップ研修の修了一覧表などもご提供しておりますが、保育体制強化加算の実施計画書については、こちらでサンプルを公開したいと思います。 ※あくまでも一例です。 なお、本来であれば、職員の平均年数を証明する職歴申立書も必要とされるところかと思いますが、今回の申請時には提出を求められておりませんので、念のため、今から対象となる職員さまにはご案内をして、集めておくと無難です。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 

就労継続支援B型はどこまで規制されるのか ~在宅支援・施設外就労・生産活動シート~

さて、2026年9月28日に開催された第64回障害福祉サービス等報酬改定検討チームで、厚生労働省は「就労系サービスに係る報酬・基準について(論点等)」という資料を公表しました。 全124ページというボリュームで、就労系サービスがいかに注目されているかがよく分かります。 注目される背景には、やはり全国的に報道された不正事例の多さがあると思います。 今回はこの資料の中から、就労継続支援B型に絞って、在宅支援、施設外就労、生産活動シートの3点を取り上げます。 ①在宅支援は「コロナ緩和」の整理がどこまで戻るか まず在宅支援です。 話題となった不正事例では、大阪に事業所がありながら北海道の利用者を「在宅支援」として給付費を請求していたケースや、通所できるにもかかわらず本人が希望するからと在宅扱いにし、実態はほとんど自習になっていたケースが取り上げられています。 もともと在宅支援は、離島など地理的に通える事業所がない場合や、重度の身体障害で通所の負担を考えると在宅の方が効果が高い場合に限定されていました。 それがコロナ禍にテレワークが推奨され、障害のある方も同様にリモートで働けるべきではないかという議論から基準が緩和され、使いやすくなった経緯があります。 在宅支援を認める要件は7項目ほどあり、1日2回の状況確認や月1回の通所といった条件を満たし、市町村が認めれば利用できます。 ただし、この7項目以外に具体的な線引きがないため、市町村も支給決定で悩み、結果として本人の希望や事業所の都合が優先されてきたのではないか、という指摘が会議でも出ています。 今回の資料では、在宅利用者の対象を「通所が困難な重度者・地理的要因のある者」「通所に向けた段階的支援が必要な者」「在宅での一般就労を希望する者」の3類型に整理する方向が示されています。 弊社の都合で申し訳ありませんが、「通所に向けた段階的支援が必要な者」については、柔軟な対応を求めたいです。 居住支援をして住まいを決めてから、在宅医療や精神訪問看護を利用して少しずつ働く意欲が出てきたときに在宅支援サービスが非常に有効です。 まずは家で内職から就労を開始し、そして通所できるように促していく形があるので、ご本人の自立のためにも、「通所に向けた段階的支援が必要な者」についての要件は今までどおりにしていただきたいなと考えております。 話...