就労継続支援A型事業の問題を考える
このところ、全国各地で就労継続支援A型事業所の廃止や大量解雇が問題になってきておりますが、そもそもなぜこのようなことが起きるのか考えています。 制度設計の問題であるといえばそれまでなのですが、いろいろな機関の仕事の進め方にも原因があるように思います。 誰が悪いとかそういうお話ではなく、制度設計そのものの問題を考えたいと思います。 まず、就労継続支援A型事業所の指定許可を得ようとする場合、社会福祉法人なら社会福祉事業を展開する法人なので、定款の規定に特殊な制限は無く、該当する事業が規定されていれば理事会承認、評議員会承認を得て、管轄の指定許可を得られれば開業して良いのですが、株式会社などの営利法人である場合は、定款の事業目的に障害福祉サービス以外の事業を規定してはいけないという自治体があります。 というかほとんどそうかとは思います。 全国統一ルールなのかよく分からない点も問題ですが、営利法人にのみこの縛りがあるために、既存の事業を経営している母体法人とは別に新しく法人を設立しなければ就労継続支援A型事業所を開業できず、結果として就労継続支援A型事業所のみを運営する営利法人が次から次へとできてしまいました。 当然、新規法人は財務体質が強くないですので、就労収益を上げようと思っても設備投資が難しく、収入や収益を増やすことも難しくなると思います。 仮に母体の法人から仕事を受注するにしても、やはり仕事内容に見合った金額でしか契約できないのが本来の形ですので、簡単に母体法人の仕事を回す訳にもいきません。 利害関係者、特に株主がしっかりしている母体法人でしたら、到底無理ですね。 ただ、こうした母体の法人は、法定雇用率の確保で悩んでいるようなケースもあります。 グループ会社である就労継続支援A型事業所でたくさんの障害者を雇用したとしても、母体法人の法定雇用率にはカウントできませんので、母体法人の規模にもよりますが、一方で障害者雇用納付金を収め、就労継続支援A型事業所では訓練等給付費を受けるというなんだかよく分からない状態が生しまれます。 就労継続支援事業を開業するのではなく、直接雇用しなさいと言われればそれまでですが、直接雇用するにしても訓練や実習を受けてからでないとなかなか難しいでしょうし、障害者雇用についてもっと深く知るために就労継続支援A型事業を開業し...