企業主導型保育事業の収入は委託費でなく運営費助成金

企業主導型保育事業については、突然ルール変更された、あるいは以前に指導監査で問題ないと言われたのに今年は指摘された等、他の事業ではあまり寄せられないご相談が弊社にも寄せられることがあります。

 

このことについて、弊社なりの所感を申し上げたいと思います。

 

そもそも企業主導型保育事業以外の一般的な福祉事業は、国の予算があって、会計上も売上として計上することがほとんどかと思います。

※普段、弊社は福祉事業については思いがあり「売上」という言葉を使うことはしないように、「収入」と呼ぶようにしておりますが、今回はあえて「売上」という言葉を用います。

 

例えば介護保険サービスなら介護事業の売上ですし、障害福祉サービスなら障害福祉事業の売上、保育サービスの場合は保育料収入や委託費収入といった表現を用いるのが企業会計上は一般的になっていると思います。

 

話がぶれますので保育サービスに限定して書きたいのですが、まず保育事業にもいくつか分類があります。

 

    認可保育事業

    認可外保育事業(企業主導型保育事業含む)

    認定こども園

    幼稚園は保育事業ではありませんので除きます。

 

他にも挙げだすと訪問型の保育やベビーシッターなどきりがありませんが、あえて①と②のみにフォーカスしまして、ここで大きく異なりますのは、

 

    認可保育事業=委託費

    認可外保育事業=助成金がない。

 

ということから考えていきたいと思います。

①認可保育事業は市町村から委託を受けて運営し、受け取るお金についても委託費収入であることが大前提かと思います。

消費税法上は非課税売上となるようですが、本来であれば市町村が行うべきところ、民間会社が認可を受けて運営するという位置づけなのかなと思います。

 

一方、②認可外保育事業は、平成28年に企業主導型保育事業が誕生する前は、両立支援事業等もあったかと思いますが、原則としては国や自治体からの助成金がなく、保護者から受け取る保育料収入のみで運営する保育施設であったかと思います。

 

これが企業主導型保育事業の誕生により、全国に「認可外保育施設だけれど企業主導型保育事業の助成金を受けて運営する園」が一気に増加した訳です。

 

企業主導型保育事業の助成金については、整備費と運営費があった訳ですが、両方とも消費税法上は不課税取引になるのだそうです。

 

この点から、「企業主導型保育事業の運営費はあくまでも助成金である」ということが分かります。

 

なぜなら、認可保育事業と同じように委託を受けて運営しているのなら、受け取るお金が消費税法上、非課税取引になると思うからです。

 

つまり、企業主導型保育事業はどこまで行っても「内閣府(および児童育成協会)から助成金をもらって運営している園」に過ぎず、認可保育事業のように委託をされている訳ではないと思うのです。

 

もっとわかりやすく言えば、

「企業主導型保育事業の助成決定を受けた認可外保育施設は、本来は認可外保育施設なのだから、保護者から徴収する保育料収入だけで運営すべき施設ですよ。企業主導型保育事業の助成決定を受けている認可外保育施設については、内閣府(および児童育成協会)は助成してあげているだけなので、本来は助成金が無くても運営できるように考えるべきなんですよ。」

ということなのかなと思います。

 

しかし、企業主導型保育事業の助成金を受けている企業側の認識はこのような認識ではなく、

「介護保険サービスや障害福祉サービスと同じようにもらっているお金は売上で助成金ではない。」

「認可保育事業と同じでもらっているお金は消費税法上の非課税取引だ。」

という認識であることが多いのではないかと思うのです。

 

そうなると、急なルール変更に対してもテンションが異なってくると思います。

 

企業主導型保育事業を管理している内閣府(および児童育成協会)としては、

「企業主導型保育事業は単なる助成事業なので、あてにしてもらっては困る。」

という感覚があるのではないかとさえ思います。

 

一方、企業側としては、

「売上の金額を左右するようなルール変更が突然に何回も行われるとんでもない事業だ。」

という反応になることがほとんどではないかと思うのです。

 

ここまで双方に認識の差があるとすれば、同じ企業主導型保育事業に対する捉え方について、双方で認識がとんでもなく乖離しているのではないかと思います。

 

結論としましては、やはり企業主導型保育事業はどこまでいっても企業の福利厚生の量と質を補完する事業に過ぎず、あくまでも事業所内保育として考えたうえで、

「定員に空きが出た場合は地域に開放して無駄なく活用する。」

という考えたで運営すべきなのかなと思います。

 

もちろん事業はすべての部門における単独採算が取れていることが重要であり、赤字を垂れ流してはいけませんし、企業主導型保育事業はせっかく加算制度も豊富に制度設計されていますので、助成金はフル活用すべきだと思います。

 

同時に、あくまでも助成金事業に過ぎないという感覚を持ちながら、自社の福利厚生と地域福祉の両方を意識して運営するとよいと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

サービス管理責任者の兼務可能な範囲について

企業主導型保育事業の消費税仕入控除額報告(助成金の返還)

企業主導型保育事業の会計における注意点(保育料や連携協定の利用契約料の取扱いなど含む)