障害児支援について(第120回 社会保障審議会障害者部会)

さて、令和3年10月18日に第120回障害者部会が開催され、障害児支援について議論がなされたようです。

(第120回)社会保障審議会障害者部会

一通り読みましたが、児童発達支援や放課後等デイサービスについては以下の2通りに分けようという議論がなされているようです。

① 総合支援型(仮称)

② 特定プログラム特化型(仮称)

障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書(案)に目を通していくと、非常に詳細に協議されていて、現状把握、制度についての議論がなされていることが分かります。

この10年で、

 児童発達支援事業所   8,298か所(約4.5倍)

 放課後等デイサービス 16,718か所(約6.5倍)

となり、参考になりにくいですが、全国でならして平均すると、中学校区程度の圏域に最低1か所は事業所が存在する計算になるようです。

(ちなみに企業主導型保育事業は5年で全国4,000か所ほどに増加中)

障害児通所給付費も約2.8倍増えており、医療介護の1.1倍と比較しても、非常に費用が増えていることが分かりますが、これは純粋に利用者数が増えているのが要因であって、単価が増えている訳ではなさそうです。

診療報酬の観点から考えますと、発達障害の診断に関係が深い臨床心理、神経心理検査の診療報酬の算定回数がじわじわと増加しており、福祉の風上にある医療の発展による影響もあると思いますが、この分野の医療サービスについては、まだまだ足りていない印象です。

今回の部会の委員提出資料は非常に参考になる内容で、自分もこれは同じ意見です。

障害児通所支援を議論するうえで、やはり学校関係者との連携が不可欠であると考えますが、正直そこがいつも進まないですね。

縦割り行政とよく言いますがまさにそれで、現場では連携しているケースはたくさんありますが、部会の資料を見ているとなんだかその点が不足しているような印象はどうしても受けてしまいます。

児童発達支援なら保育所やこども園、放課後等デイサービスなら学校や学童保育とのつながりが重要だと思うのですが、どうしても給付費の関係上、これらは分けて考えているとは思いますので、難しさもあるのでしょうか。

特に上記に挙げた事業のうち、学校以外について整理しますと、

・保育所 委託費が出ている

・児童発達支援 給付費が出ている。

・放課後等デイサービス 給付費が出ている。

・学童保育 ほとんど補助がない(地域によっては補助あり)

という現状があり、やはりどう考えても学童保育が一番つらいのですが、この分野は民間の塾ががんばっていることもあって、補助しようにも対象を特定しづらい面があるようで、学童保育についても、ただ学童保育と名乗っているところが多い割合を占めていて、いわゆる「放課後児童クラブ」として届出しているところの方が少ない傾向にあると思います。

補助事業にしづらい面があるとは思いますが、こうした議論が児童発達支援や放課後等デイサービスの分野にも影響し始めていて、塾のようなサービス内容の事業所には給付しない方向で検討してはどうかという意見も見られました。

今や放課後等デイサービスは多種多様なサービスがあって、障害児童やその保護者からの満足度については、特別な塾のようなサービスも存在はしていると思いますので、こうしたサービスを縛ってしまうとそれはそれで多様性を失うことになりますし、実際にニーズが生まれて供給してしまっている以上は、なかなか制度設計も困難になるのではないかと思います。

一方で、いわゆる健常児はお金を出して塾に行く、あるいは学童保育で過ごすといった状況ですね。

別にそれは悪いことではないですが、共存できる制度ができないかということもちゃんと議論されていて、児童発達支援については、以下のような文章も見られました。

「例えば、保育所と児童発達支援事業所が、一 日の活動の中で、設定遊び等において子どもが一緒に過ごす時間を持ち、それぞれの人員基準以上の保育士等が混合して支援を行う等、一体的な支援を可能とする方向で検討することとしてはどうか。 」

これは実現かできたらとても素晴らしいことだと思います。

全員が参加できる訳ではないと思いますが、「一体的な支援」ができる制度が生まれてくると良いなと思います。

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