企業主導型保育事業の年度完了報告(2020年度)

さて、企業主導型保育事業の2020年度完了報告がいまだ承認されていない園もあるかと思いますが、私が60社ほどご支援してみて、2019年度完了報告との変化についてまとめてみたいと思います。

まず振り返りますと、2019年度と異なり、損益計算書と貸借対照表の添付が求められました。

2019年度までは、社会福祉法人の資金収支計算書とほぼ同様な勘定科目で報告していましたが、2020年度からは、添付して提出した損益計算書とぴったり一致するように、勘定科目名称も損益計算書に合わせて報告をするルールに変わったので、正直、すべて直したようなケースもありました。

また、社会福祉法人の会計基準で処理をしていた園については、資金収支計算書ではなく、事業活動計算書の形式で提出するよう求められたり、資金収支計算書という名称になっているだけで実質事業活動計算書ですか?というような、良く分からないやりとりはありました。

減価償却費は計上するようになり、調整額という欄でマイナスをする方式となりました。

また、損益計算書に含まれている科目の中に、運営費対象外の支出(経費)がある場合は、これも調整額でマイナスすればよいことになり、例えば役員報酬だとか、そもそも計上できないものについても、損益計算書に記載がされている場合には、まず入力をして、調整額でマイナスをするというような方法で修正しながら報告することになりました。

毎年のようにルールが変わってしまいますので、もうこれ以上、急な変更は避けてほしいなとは思いますが、例えば「企業主導型保育事業会計基準」のようなものを発表して例示するとか、会計に関する研修会を開催するとか、勉強熱心な園に対しては早めのご案内をしてほしいと感じました。


実際の報告についての注意点は、しっかりと協会の通知文書を確認し、計上できるものは漏れなく計上するということに尽きると思います。

よく、

「完了報告画面に入力するとすごい金額の積立金が発生してしまうのですが、正直言ってこんなに預金残高が残っていないのになぜなんでしょうか?」

といったご相談が寄せられますが、これはいろいろ原因があります。

最もシンプルに考えれば、ただ通帳をそのまま出納計算すればぴったり合うはずなんですが、会計処理とはそれほど単純なものではなく、発生主義による未払計上があったり、前年度の精算金が今年度に入金されたり、利益に法人税がかかりますので、この分も誤って積立していたりと、まあ複雑なお話となります。

やはりシンプルイズベストなんだろうと思いますが、税務申告をしている会計帳票と整合性がぴったり取れていることが理想だとも思いますし、基準を作る側も大変だろうと思います。

今、財務監査が始まっていて、少しずつ公認会計士の先生の専門的なお考えに触れ、指導をしてもらえる状況になってきましたので、怖がらずにちゃんと処理をして、分からないことは確認できるとよいですね。



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