企業主導型保育事業の継続申請や年度完了報告

 2021年2月から4月初旬にかけて、企業主導型保育事業については非常にたくさんの通知文書が届き、それに対応する手続きも必要になるなど、事業者さまも大変だったと思います。

昨日の4/10でいったん落ち着いた訳ですが、どんな変化があったのか、私なりに少しまとめたいと思います。

( 既存の園向けのものをまとめていますので、令和2年度新規募集の園については、年度内開園をした園のみが対象になりうる内容です。)

① 2021年2月1日 助成決定額変更申請について

 今回初めて行われた事務になります。

 今までは、年度始めに1年分の助成見込金額を記載した助成決定通知書が交付されていましたが、実績金額との乖離が激しいため、児童育成協会が予算を立てても補正予算で金額が大幅に変わるなど、制度運用における予算管理が難しい状況にあったのだろうと思われます。

 その状況を改善するために、できる限り実績に近い金額を固めることで、補正予算の質を高めようとしたのだろうと考えられます。

 園としては義務として変更申請手続きをさせられた訳ですが、園にとっても、補正予算作成の際の参考になるかなとは思います。


② 2021年3月4日 2020年度報告及び完了報告並びに処遇改善加算実績報告について

 毎年完了報告のルールがコロコロ変わってしまい大変かと思いますが、2020年度からは、月次報告の内容は直せなくなりました。

 が、ややこしいことに、2月と3月だけは、この年度報告の画面で月次報告を行いました。

 処遇改善加算実績報告は入力事項など、特に変わらなかったです。

 完了報告(収支の報告)は結構ルールが変わるということで、詳細は3月末に通知するという内容で終わっていました。


③ 2021年3月12日 助成決定額再変更申請について

 ①の手続きを経て、助成決定変更額の通知文書が交付されたのですが、年度内に定員変更申請や事業変更申請をしているなど、助成決定変更額の通知文書に記載された助成金額をさらに超える見込みがある場合は、この事務手続きが必要とされました。


④ 2021年3月24日 継続申請の手続き及び概算交付申請の日程について

 4月7日までに継続申請を行い、2021年度も運営費を受給したいですと申請をしました。

 この時に2つほどアナウンス不足があり、私のところにもご連絡が殺到しました。

・概算交付申請ができない!

・2021年度助成決定額が少なすぎる!

 これらは両方とも協会のアナウンス不足が原因だと思いますが、概算交付申請については、継続申請が承認され、2021年度も運営費を申請して良いという状態にならないとできませんでした。

 また、2021年度助成決定通知に記載された助成金額は、半年分になっており、このことは通知文書には小さく書いてあるのですが、助成決定通知文書自体に記載すべきではなかったかと思います。

 助成決定通知文書には、4月から3月と期間が書かれていましたので、半年分とは読み取れないため、心配になった園が続出しました。


⑤ 2021年3月30日 年度報告及び完了報告並びに処遇改善加算実績報告について

 ②の際に3月末に詳細を追って通知するとされていたので、この文書で再度通知がありました。 

 この通知で、しっかりと完了報告(収支報告)のルールが変わってしまいました。

 一番大きな変化としましては、保育園のみの4月から3月の損益計算書と3月末の貸借対照表の添付が求められており、これに4/10までに対応するのがほぼ不可能に近かったというところです。

 私がご支援した52園のうち、損益計算書と貸借対照表まで提出できたのは1園のみでした。

 入力方法についても、添付する損益計算書通りに入力する方法に変わっており、助成対象外になる金額や損益計算書上に存在しない勘定科目については、「調整金額」という欄に入力することになりました。

 この完了報告については、5/14まで期限延長ができるとされましたが、3月分支出の追加計上と損益計算書および貸借対照表の提出のみ、延長が許されるとしてありましたので、2月分までの支出は意地でも計上しないといけないということで大変でした。


⑥ 2021年4月1日 児童の出欠席等に関する確認事項

 こんな忙しいなかで、4月1日に4月1日からの取り扱いを発表するということで、通知文書が届きました。

 会計検査院の指摘を受けてのものであり、手引きの5ページや10ページには前年度からの変更点も書かれていますが、とにかく就労以外の事由によるお預かりは一時預かりであるということと、月15日以下の登園は日割り計算にすることなどが書かれていました。

 また、病欠は出席扱いですが、保護者の申告による欠席しか病欠と認めないとのことで、連絡帳では対応が難しく、お電話を受けた際の記録や、翌日の送迎時のコミュニケーションの記録など、どうすれば良いのか、これもお電話が殺到いたしました。


⑦ 2021年4月5日 地域枠・従業員枠の弾力措置について

 これだけ混乱しているなか、さらに4月5日に4月1日付にて文書が届きました。

 この文書も非常に大変なことが書かれていますが、既存の園は令和5年3月末までは経過措置で守られています。

 が、令和2年度新規の園は最初から適用されてしまうようです。

 企業主導型保育園には、

・一般事業主型

・保育事業者設置型

の2種類がありますが、一般事業主型は定員の1割以上は自社枠としなければならなくなりました。

まず、「地域枠と従業員枠」という考え方から、「地域枠と自社枠と連携企業枠」という考え方に変わっており、

従業員枠=自社枠+連携企業枠

と考える必要があります。

この自社枠については、自社の従業員の児童しかお預かりできないとのことで、さっそく問題になっております。

国の補助金を使って整備した定員をこのようなルールで空けてしまうかもしれないということについては、補助金の運用上、問題ではないかとはと思いますが、このようなルールになったようです。


だいたい、これが2月から4月の動きの概要になりますが、全てに追いついていくことができている園はかなり少ないと思われます。

2020年度内に新規オープンした園については、①と③以外は対象になった訳ですが、4月入園の対応などで大変忙しく、対応が難しかったのではないかと思われます。

 



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