就労継続支援A型事業所の経営改善計画問題
社会保障審議会の障害者部会の会議資料が更新されています。
ボリュームがあるのですべて読み切れておりませんが、今回は就労継続支援A型事業所について考えてみたいと思います。
就労継続支援A型事業所と言えば、平成23年前後に大幅に事業所が増えたものの、その後特開金(特定求職者開発助成金)の受給要件が厳しくなったことに伴い、次第にA型事業所を譲渡したり廃止したりしてしまい、2、3年ほど前には、多くの障害者の雇用の安定が脅かされた時期がありました。
このころ、特に指導をされたのは、自立支援給付費収入を用いて障害者の賃金を支払っているA型事業所でしたが、これが大半を占めていました。
この状態は運営基準違反であるから改善せよということで、いきなりそういわれても就労収益(国保連収入以外の純粋な売上のこと)を増収させることもできず、経営改善は無理と考え、A型事業所からB型事業所へ変更したり、A型事業所を廃止したりと、いろいろな企業があります。
A型事業所の経営改善計画問題は、だいたいこのようなお話ですが、結局は、制度が出来た当初は比較的安易に指定許可を得ることができていたのが、後から、就労収益でご利用者の賃金を支払わないといけないという点を厳格に指導するようになり、事業者がついていくことができなくなっているという訳です。
A型事業所で、経営改善計画を出さないといけない事業所は、なんと全体の7割近い状態です。
つまり、きちんと運営できているA型事業所は3割しかありません。
この資料の70ページと71ページを見ると、それが分かります。
平均労働時間が7時間以上になっているような事業所でも、2割は経営改善計画を提出しないといけない状況です。
新型コロナウイルス感染症の関係で、コロナ期間については、自立支援給付費から利用者の賃金を支払っても良いことになっているようですが、これが恒久的な取り扱いになる訳はないはずです。
毎年、経営改善計画を提出しながらA型事業所を運営するということは、常に引け目を感じながら運営していくことになってしまいますが、自治体によって、経営改善計画に対する指導の温度差もあります。
厳格に指導をする自治体ですと、今年は時間給200円でしたね、では来年は250円以上にしてくださいとか、時間チャージの目安について言及されたりします。
弊社のクライアントのA型事業所さまは、1社を除いてみなさま黒字経営なので、経営改善計画を提出しているのは1社なのですが、黒字経営のA型事業所は、やはり仕事の内容がそもそも違います。
軽作業はしておらず、例えば野菜カット工場だとか、廃棄物処理関係だとか、ウエス製造だとかリネンサービスだとか、やはり工場系でないと難しいです。
経営改善計画を提出しているA型事業所が、いきなり設備投資をして工場を作るということは考えにくいので、なかなか厳しいところです。
また、ご利用者目線で考えると、A型事業所が減ってきているので、地域によっては、以前のように最低賃金以上の賃金をもらえる場所が減っている状況があります。
その分、一般就労が進めばよいのですが、今はコロナ禍で就職困難である業種が多いので、障害者雇用も減っているところがあるようです。
とにかく、障害福祉サービスについては、今度の4月に報酬改定ですので、どういったサービスがどのような評価をされて報酬単価が変化するのか、今から常にウオッチしておきたいと思います。
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