令和2年度企業主導型保育施設に対する立入調査(指導監査)

さて、いよいよ企業主導型保育施設への立入調査が再開される兆しです。

いきなりですが、指導監査と立入調査は少々意味合いが異なると思うのですが、このあたりの言葉の使い方については、保育業界だけでなく他の福祉事業についても同様ですが、一部で混同しているようにも見受けられます。

介護保険サービスや障害福祉サービスですと、このほかに実地指導もありますが、例えば介護保険サービスで立入調査と言われると、虐待の疑いが無いか立ち会いのうえで調査するようなことを指すかなと思いますので、同じ福祉サービスであっても、なんだか言葉の違いで受ける印象も変わってくるような気はしております。


さて、そのような細かい話はともかく、企業主導型保育事業のポータルサイトには、自主点検表なども一斉にアップされております。

私はすべて拝見いたしましたが、基本的には今までのチェック項目を踏襲していけばよいように思います。

積立金のところでさりげなく保育所施設・設備整備積立金という表現が消えていたり(実際に消えることはないと思いますが)、委託会社への支払いについて、運営費の100%(賃借料加算分は除いて)以上を支払っていない場合は理由を入力する欄が設けられるなど、変化が見られる項目もあります。

企業主導型保育事業のポータルサイト上にアップされている情報は誰でもアクセスしやすい場所にありますが、内閣府の企業主導型保育事業点検・評価検討委員会の資料は、案外見つけられない方が多いので、あえてこちらの資料をもとに、今後の監査対応について考えていきたいと思います。


さて、こちらの資料の1ページと2ページについては、令和2年度新規募集のスケジュール等について書かれておりますので、今日のテーマとは異なりますが、気になる方は確認しておくとスケジュール感覚がつかめるかなと思います。

次に資料の3ページと4ページでは、児童育成協会の人材確保計画案が示されております。

4月の段階で100人必要だが80人しかいないので20人足りないというところから、5月には100人体制にする計画になっています。

普通に考えて、いきなり20人も採用に成功したのかな??とは感じますが、やはり人材確保が大切ですね。

整備費を審査する建築士先生は7名いらっしゃいますが、社労士先生は1名しかいないようですので、処遇改善の審査は非常に大変でしょうね。

資料の5ページを見ると、相談支援体制は拡充されているようなのですが、電話がつながりにくいとは聞きますので、人数というよりは回線を増やしたほうがよいのでは?と思うことはあります。

ただ、限界もあるでしょうね。

平成28年度から今まで、どんどん施設数は増加していますので、大変だろうと思います。

資料の6ページを見ますと、西日本支社については、結局令和2年度中には設立されないのだなということが分かります。

ただ、9月までに事務所は確保されるようなので、ちょこちょこと立ち上がる可能性はありますね。

さて、そしてようやく指導監査のお話ですが、資料の7ページを見るとスケジュールが分かります。

児童育成協会が自ら指導監査を開始するのは8月ごろからのようです。

外部委託機関については、9月末から指導監査を開始するようですね。

このところ1年以上、指導監査がほとんど行われていなかった印象がありますが、いよいよ再開するようです。

ただ、児童育成協会は東京の法人かと思いますので、新型コロナウイルス感染症が収まっていないなかで、東京から指導監査に来るのか?という点については、ちょっとどうなるのか分からない部分もあります。

また、令和3年1月からは、「労務監査」も始まるようです。

少し飛んで資料の10ページを見ますと、各都道府県の社会保険労務士会と協力して、労務監査を行うようです。

保育士の労働環境にメスを入れていくという意味合いもあるのかもしれませんね。

特に処遇改善制度については、本来シンプルであるべき制度だと思うのですが、なんだかルールが細かくて、よくわからないので加算算定をあきらめているケースもあるように思います。

このあたりは、社労士先生と一緒にあるべき姿で、園も余計な不安な思いはしなくても済むように、みんながルールを理解して普通に支給していくことができれば、保育士の所得増につながって、待遇もさらに良くなっていくと思います。

一部の企業主導型保育園では、すでに好待遇を実現できている園もありますので、特に保育従事者の人件費については、硬直的な運用ばかりではなく、柔軟な運用もできるとよいですね。

なお、資料の9ページを見ますと、「財務監査」については、令和2年度は本格的な実施はなさそうですが、令和3年1月からモデル立入調査が行われるようなので、選ばれた園に調査に来るのか、そのあたりも気になるところです。

最後になりますが、指導監査については学びの場でもありますので、この機会にしっかりと自主点検をし、必要な書類は再確認をして臨むことで、さらなる業務品質の向上につなげていくことができればと思いますし、私もそのお手伝いができればと思います。

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