幼児教育・保育の無償化と企業主導型保育事業

いよいよ幼児教育・保育無償化が来月から始まりますが、現場では非常に混乱が生じております。

はっきり言って取り扱いを間違える園が続出するのではないかと思うぐらい複雑です。

特に企業主導型保育事業は大変だと思います。

昨日はようやく一時預かり(余裕活用型)の取り扱いが決定し、企業主導型保育事業における一時預かり(余裕活用型)の利用料は無償化対象ではないということが決定したようです。

ちなみに一時預かり(一般型)は無償化対象です。

が、管轄市町村に確認申請をしておかないと、無償化対象の園になれませんので、今の段階で必ず役所に相談をしておいてください。

病児保育についても無償化対象です。

ただし、そもそも体調不良児対応型はこれを利用することについて別途利用料金を徴収することはできないかと思いますので、気にする必要はありませんが、病児保育・病後児保育を実施している場合には、これも管轄市町村への確認申請が必要です。

それから、3~5歳児の副食費について、認可保育園などは年収360万円未満相当世帯は副食費が減免されますが、企業主導型保育事業は減免されません。。

このことも昨日こちらに通知が出ております。


今回の無償化の動きの中で、「副食費=月額4,500円」というお話が出てきたわけですが、この分は国からは支給されず、保護者から徴収するというお話ですね。

3歳以上児童については、この副食費を除いた利用者負担相当額が、「施設利用給付費」として国から入金されるわけです。

副食費、施設利用給付費、確認申請(一時預かり一般型や病児保育を運営している場合のみ対象)といった新しい言葉も出てきておりますので、一つずつ把握をしながら、まずは8月19日に児童育成協会が公表しているこちらのチェックリストに基づいて一つずつ落ち着いて取り組むとよいです。


 別添3 無償化の実施のための事務


今回の政策については様々なねじれ減少も発生しそうです。

例えば認可外保育施設の保育料は原則消費税課税売上であり、「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書」が交付されていない園は課税されるわけですが、新設の認可外保育施設ですとこれがまだ交付されていないケースがほとんどです。

そのため、10月から消費税分を値上げするので、0~2歳児の保護者からは、

「え?無償化なのに無償にならないし逆に消費税分高くなるんですか?」

といったことが生じるかと思います。

園としては、税込みで保育料を設定しているから消費税分は転嫁しないという園もかなりあるようですが、消費税法の観点から考えたらどうなんでしょうね?

保育無償化と言っていて逆に保育料が高くなる方々が出てきますよ。


また、今回の無償化においては、認可外保育施設と企業主導型保育事業の取り扱いがかなり異なるわけですが、そもそも企業主導型保育事業は認可外保育施設です。

それなのに取り扱いが異なるので、たぶん全く訳が分からなくなると思います。

当然、園としてはこういったことは勉強しておかないといけないわけですが、仕組みとして相当に複雑ですね。

さらにさらに、例えば児童発達支援センターや児童発達支援と企業主導型保育事業を並行して利用する場合は、おそらくですが、分野をまたいだ上限額管理が発生するのではないでしょうか。

もともと障害福祉サービスの世界では上限額管理があるわけですが、これもそもそも相当複雑なので大変なのですが、さらに複雑になりますよね。

行政の事務負担も激増していることでしょう。




それから、ここからは少数派のお話になりますが、もともと認可外保育施設を運営していて、定員増加分で申請して助成決定を得ている場合はさらに複雑です。

当社のクライアントさまの中にもこうした増員分による助成決定を得ていらっしゃる園がありますが、大変ですね。

詳細はこちらに書かれていますので割愛いたしますが、増員分だけではなく、園に在籍している全員分の施設利用給付費が運営費に上乗せされて支給されるようなので、請求事務が複雑になります。


うーん、事務を効率化しようとか、そういった話が政治のなかでも出てきていると思うんですが、逆にどんどん事務が増えているので、はっきり言って訳が分からないですよね。

介護・障害分野においても特定処遇改善加算なる事務が増えております。

いろいろ改善されていることでもあるので、こういった情報をしっかりと収集し、落ち着いて取り組まないと損をしますので、常に勉強・研究が必要だと感じました。

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