企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会(第3回)の会議資料がアップされています。

平成31年2月25日に開催された「企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会(第3回)」の会議資料がアップされていました。

まだ議事録はアップされていませんが、昨日報道されていた内容を裏付ける資料も確認できました。

企業主導型保育事業についてはなんだか悪いニュースが多いように思うのでそこは残念なのですが、当社のクライアントさまは本当に余裕のある人員体制が取れている園も多く、正直なところ報道とのギャップを感じているとともに、こんなに頑張っているみなさんのことはクローズアップしてくださらないのかな?と思っております。

特に保育事業の経験が5年以上無い事業者は新設できないようにしようという方針が示されていることについては、ある意味審査の怠慢なのではないか、働き手や運営者の多様な工夫が良い事例を生んでいるケースもあり、せめて1年とか3年とか、そういった設定にできないかとは思います。

しかしながら、会議資料の中にも示されているのですが、一方では幼児教育・保育無償化だ、幼保連携などを進めて保育一元化だというような話で進んできたところにこの企業主導型保育事業が加わったことで、保育分野の制度がより複雑化してきた感は否めないように思います。

企業主導型保育事業は社会福祉法人の財務諸表開示システムを活用して財務諸表の公表が義務付けられそうな気配もありますが、もともと社会福祉法人クライアントさまのご支援をしている身としましては、事務の大変さが増してくるなあと感じるとともに、これまで以上に運営のご相談が寄せられるかもしれないなあと感じております。

社会福祉法人以外であれば、介護保険サービスや障害福祉サービス(一部を除く)はこのような財務諸表の公表は義務付けられていないかと思いますが、企業主導型保育事業だけはこのようにするのですかね。

たしかに大切なことかもしれませんが、高齢者、障害者、児童、みんな同じように大切だと思うのは私だけでしょうか。

管轄省庁も異なってきたり、今までの歴史もあるのは重々承知しているのですが、企業主導型保育事業だけ財務諸表を公表するというのはなかなか企業にとっても会計事務が大変だろうなと思います。

社会福祉法人会計を一から勉強しないといけませんね。

支出伺や会計伝票など、社会福祉法人の経理事務の大変さは経験した方でないとなかなか理解しづらい面もあります。

この企業主導型保育事業の最大の問題点としましては、標準処理期間が定まっておらず、助成金の入金タイミングがバラバラで運営費だけでも申請方法が「暫定申請」、「概算交付申請」、「月次報告」、「再申請」、「年度完了報告」と5種類もあり、さらに入金が遅いので資金計画が立てられないことです。

私は3年間の経験を通して今年はこうなるだろうとかある程度予測が立てられるのですが、はっきり言って初めて経験する企業さまには綿密な資金計画を立てるのは不可能であり、全国各地の金融機関も困っています。

ざっくり言ってしまえば、建設資金の自己負担分と備品分のほかに、1年分の運転資金も必要です。

2か月分や3か月分ではありません。

1年分です。

このことを知らないで新規参入した中小零細企業は資金繰りに行き詰ってしまいます。

現状、悪いニュースとして報道されている事案については、全てとは言いませんが、だいたいこれが原因なのではないかと推察しております。

私の感覚だけで話をしてはいけませんが、いくら小規模な園であっても、おそらく最低でも年商が2億円ぐらい、資金としては4,000万円ほど用意できないと厳しいです。

定員12名であればこのぐらいの年商規模でもなんとかなるかと思いますが、定員60名以上のいわゆる標準園のような規模である場合は、もっと年商規模が必要ですね。

ちなみに児童がしっかり確保できれば、初年度から積立を行っている園もございますし、2年度目はだいたい黒字化しています。

そういう意味では、保育事業の運営経験のみで縛るのも今の状態では危険(例えば5年間認可外保育施設のみを運営している団体などは資金が用意できない)なので、会議資料にある通りで財務諸表の審査を厳しくしていただいて、とにかく体力のある企業で福祉の心を持つことができる企業に新設していただくのが良いのでしょうが、どんな企業なのか、資料だけで見ても分からないので、究極のところはヒアリングが必要になってくるでしょうし、そのあたりは市町村など地域行政との連携をしていただいて審査の基準としていただきたいと思いますね。

保育事業の運営経験がなかった企業さまでも、体力のある企業さまはしっかりと予算を割いて非常に良い人材を採用し、十分に配置基準を守って、保育の厳しいルールにも順応して1度目の監査や行政の立入調査で褒められるぐらいの園は存在しております。

ですので、新規参入の芽が摘まれるのは残念だなという思いが半分と、今の全国的な混乱をクールダウンさせるためには仕方がないことなのかなというあきらめが半分です。

愚痴のようになってはいけませんが、日々保育を頑張っている園のみなさまのためにも、少しでもお力になれればと思います。

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