平成30年度 企業主導型保育事業の助成決定の状況と 平成31年度の新規事業等、今後の企業主導型保育事業について

さて、平成30年度の企業主導型保育事業の整備費事業ですが、いまだに正式な助成決定が下りていない園が大多数を占めている様子です。

このところ、企業主導型保育事業については、世田谷区の突然休園した園のニュースがクローズアップされるなど、あまりよくないイメージも出始めていますね。

ただ、全国的には稼働率も上がってきているので、一定の効果は認められつつあるようです。

そんな中、昨日(平成31年2月7日)企業主導型保育事業のポータルサイトで、「今後の企業主導型保育事業の募集等について」というお知らせがアップされました。


現在、「企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会」でいろいろな議論が交わされていますが、今いろいろと検討をしているので、平成31年度新規事業の募集時期は未定となっているとのことです。

また、この検討委員会の結果をふまえて、平成31年度以降の審査内容や基準等が変更される可能性も示唆されています。

企業主導型保育事業の平成31年度新規事業については、こちらの「第41回 子ども・子育て会議」の「資料1-1」の7ページ中段(PDFだと8ページ目)あたりに、平成31年度については新たに2万人分整備すると書かれており、予算もかなり計上されています。

こうした各種の資料を見ているだけでは分からないこともありますが、今回はやはりこの「企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会 第2回議事録」がかなり参考になります。

平成31年1月21日に開かれた委員会であり、議事録は33ページもあるので量はありますが、世田谷区や福岡市、福島市などの自治体の方々が参加されて意見などを述べておられるので、今までの企業主導型保育事業の進め方についての良いところと問題点が浮き彫りになっていることが分かります。

良いところは、やはり新しい制度であるため、例えば隣の市町村に住んでいる保護者でも、住所があるところとは別の市の施設に子どもを預けることができたり、企業同士の交流が進んでいる地域だと、お互いの助け合いも生まれていたり、地域枠が活発にやりとりされていて待機児童解消に貢献していたりといったことがあるようです。

これに対して問題点としては、自治体が関与しないで乱立してしまった地域があったり、補助金の入金が遅いこともあって財務基盤がしっかりしていない事業者が破綻してしまっていたり、企業枠が空いてしまい結局は地域枠としてきた児童の保護者に頼んで勤め先と提携させてもらって企業枠扱いとする、いわゆる本当は地域枠である企業枠の児童が発生したりと、当初想定していなかったことが起こっているということもあります。

また、土曜保育の取扱いについては、駒崎委員さまが「第41回 子ども・子育て会議」に提出しておられる委員提出資料の10ページ(PDFだと11ページ)にて指摘されているように、認可保育園のルールと異なり、審査の時期や審査担当官等によって取扱いが変わってしまっており、企業主導型保育事業のほうがかなり厳しい取扱いになってしまっているため、運営に影響が出ているケースもあります。

こうした問題点については、平成31年度以降に基準を見直していただきたいと思うところもあります。

このあたりの資料では話題になっておりませんが、余裕活用型の一時預かりについても、ルールが曖昧なのでしっかりと規定してルールを公表してほしいという思いはあります。

平成29年度までは、財務基盤がしっかりしていない企業であってもすべて助成決定を受けることができてしまっていたかと思いますので、現在はその余波が出て問題が起きているように思いますが、平成30年度からは審査が厳しくなっており、過去3期の決算の数字が悪かったり、債務超過であったりした場合は内示が受けられなかったかと思いますので、この点については少しずつ改善の方向に向かっていくのではないかと予想しております。

認可保育園の公募のように、直前期の決算が債務超過であったり、過去3期の決算のうち2期が赤字である場合はそもそも応募できない仕組みにしてしまうしかないのかもしれませんね。
(認可保育園の公募の審査基準は地域によって異なるところもあるかと思いますが)


企業主導型保育事業も含め、認可外保育施設については5年間の間に認可保育園に格上げしようというような話題も何回か目にしているのですが、前述の「企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会 第2回議事録」の後半のやりとりを読んでいると、認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付を受けること=認可 というようなはき違えがあるのか、なんだかそこはあいまいな感じで終わってしまっているように感じます。

幼児教育無償化に伴う保育無償化の話で、指導監督基準を満たしていない認可外保育施設についても5年間の経過措置を設けて無償化の対象にするということなので、その話とごちゃまぜになっているようにも思いますので、この点は実現性は乏しいのかな?とは感じております。
(企業主導型保育事業の認可外保育施設が認可保育園に格上げされるということの実現性は乏しいのかな?という意味です。)

なぜなら、企業主導型保育事業は補助事業ですので、5年以内にこれをやめて認可保育園へ移行するという話になると、補助を受けてから10年経過していないので整備費の返還が発生するのではないか、という考え方があるかと思うからです。

まあ新しい制度をつくってしまえばそれまでなのかもしれませんが、この5年の間にどうにかするという話については、何をどのようにしてどうにかするのか、引き続き情報を収集し続けなければならないと思います。


長くなってしまいましたが、平成30年度整備費事業はまだ正式な助成決定が下りていない園がいっぱいあり、はっきり言って補助金の入金時期の遅延という課題については、なんら解決されている感じがしないということと、平成31年度以降、この事業については審査基準も含めて制度の修正があるだろうということ、しかしながら今後もこの事業は続いていくだろうということは言えると思います。

コメント

このブログの人気の投稿

サービス管理責任者の兼務可能な範囲について

企業主導型保育事業の消費税仕入控除額報告(助成金の返還)

企業主導型保育事業における会計の注意点