企業主導型保育事業と保育認定

このところ企業主導型保育施設が増えてきていますが、保育認定をめぐって事業実施者と市区町村との間で誤解が生じてしまうケースが出てきているようです。

企業主導型保育事業は、①「保育認定を受けている児童」か、②「共働きで両親の就労証明書を徴することができる児童」でないと原則として預かることができない(一時預かりなら可能)のですが、認可外保育施設であるため、市区町村に保育認定を受けに行ってもすぐにもらえなかったり、そもそも認可外保育施設なので保育認定はいらないはずなど、取り合ってもらえないことがあります。

企業主導型保育事業において保育認定を要するケースとしては、両親のうちどちらかが個人事業主であったり、求職活動中であったり、あるいは学校に行っていたり、育児休業中の特例の対象になったり、母親が妊娠していて出産を控えていたりと、だいたいこのようなケースが対象になってくるのですが、こうしたケースで市区町村の保育認定がもらえないと、企業主導型保育施設は運営費の申請ができないのです。
(一時預かり加算を算定している施設の場合は、一時預かりを実施すれば加算は算定可能)

こうしたことが起こらないように、平成29年1月末ごろに内閣府から全国の市町村に事務連絡が送られており、円滑に保育認定をするよう配慮していただきたいということが伝えられているようですが、それでもなかなかスムーズに保育認定まで至らないケースがあるようです。

この原因となっているのが、企業主導型保育事業の助成要綱の文章の解釈の違いによる部分もあるようで、たしかに文章を読んでみるとすぐには判断が難しいと感じます。

毎年度助成要綱も変わるのかなと思いますが、最新の平成30年度の助成要綱3ページにある、第3の2.(2) ① ウ の表現が原因になっていることがあるようです。

具体的に読み込んでいきますと、事業実施者が認めれば大丈夫というように書いてあり、一見すると保育認定がいらないのではと誤解してしまいますが、「子ども・子育て支援法施行規則 第1条の第1号、第2号、第9号の場合」のみ、事業実施者が認めれば良いということが読みとれます。

ここまでくると、子ども・子育て支援法施行規則を読むしかありません。

そうすると、妊娠中または出産後間もないとき、育児休業中のとき、保護者の労働時間が月48〜64時間労働のときは事業実施者が認めれば良い、ただしこれは従業員枠の場合のみであることが分かります。

女性が妊娠・出産を機に退職してしまうケースもあると思いますが、退職をせずに在籍してもらえば、要件を満たせば本人は雇用保険から育児休業給付が受けられますし、社会保険料も免除になるうえ、在籍していますから従業員枠になるので、事業実施者が認めれば保育認定は不要となり、企業主導型保育施設なら利用できるのです。

さらに助成要綱を読むと素晴らしいことが書いてあります。

事業実施者が認めれば、第1号の労働時間については、下限の48時間を下回ったとしても大丈夫ということが書いてあるからです。

小さなことかもしれませんが、ここに働き方改革の考えや企業主導型保育事業を柔軟な制度にしようという意図が組み込まれているように感じます。

企業主導型保育事業は始まったばかりの新しい制度であり、解釈の違いや明文化されていないルールが存在するなど、対応が大変かも知れませんが、制度の趣旨を十二分に理解して、企業にとってプラスとなるように運営できると良いと思います。


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