企業主導型保育事業と病児保育

企業主導型保育事業の平成30年度助成要綱がなかなか発表されず、20,000人の整備費予算に関する募集期限もいまだ発表されておらず(平成30年5月5日現在)、企業主導型保育事業の開業を考えている事業者さまはやきもきしていることと思います。

平成28年度、平成29年度の2年間で30軒以上の企業主導型保育事業の開業支援をしてまいりましたが、中には病児保育を併設してオープンしている事業者さまもあります。

この病児保育については、どのような制度なのか分からない事業者さまも多く、試行錯誤しながらオープンされた企業主導型保育施設もあることでしょう。

私はクライアントさまでもともと病児保育を運営されているところがありまして、制度については理解しておりましたので、そのこともこの企業主導型保育事業のコンサルティングにおおいに役立っております。

企業主導型保育事業が始まるまでは、病児保育は市町村から委託を受けて実施する事業であり、概ね人口10万人に対して1箇所という割合で整備されてきたものなので、ある意味マイナーな事業であったかと思いますが、必要な事業だと思います。

そもそも「病児保育」と言っても4種類あるのですが、それもあまり知られていないような気がします。

1.病児保育

2.病後児保育

3.体調不良児対応型

4.訪問型

これらのうち、1.から3.は企業主導型保育事業で自由に整備ができるようになっています。

企業主導型保育事業が始まったころは、市町村との契約無しで病児保育を開業することなんてできるのだろうかと疑問に思っていた時期もありましたが、普通に開業できています。

もともとあまり採算の良い事業ではないのですが、医療機関内や医療機関に併設させることができれば、要件を満たせば特例的な人員配置で運営ができるので、やはり医療法人などの医療機関に病児保育は運営していただくと良いなあと思います。

保育園で病児保育を運営しているケースもありますが、医師がいないと不安ですので、保育園の病児保育はなかなか利用が進まないこともあるようです。

このあたりのお話は、内閣府のホームページにあるこのパネルディスカッションの内容が参考になります。



パネルディスカッション(病児保育)



企業主導型保育事業で病児保育を開業する場合も、病児保育事業の実施要綱を参考に取り組むと良いです。

病児保育と病後児保育の両方を開業する場合は、お部屋はそれぞれに二つは必要なので、合計4部屋必要になるため注意が必要です。

出入口やトイレも可能なら病児保育・病後児保育専用のものを備えて、通常の保育施設スペースとは導線も区分できると理想的です。

職員は看護職員と保育士が各1名必要なので、児童の数にもよりますが、病児保育と病後児保育の両方を運営するならそれぞれに看護職員1名と保育士1名は最低必要なので、合計4名は人材がいります。

体調不良児対応型を運営する場合は、医務室などにベッドを置き、看護職員1名を常駐させます。

訪問型は企業主導型保育事業には存在しません。


企業主導型保育事業のおかげで、実は病児保育を自由に開業できる状態になっておりますので、加算の金額も参考にしながら、取り組むと良いかと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

サービス管理責任者の兼務可能な範囲について

企業主導型保育事業の消費税仕入控除額報告(助成金の返還)

企業主導型保育事業における会計の注意点