障害福祉サービスのグループホーム(共同生活援助)の共同生活住居の規模に関する例外の対象について

このところ、障害福祉サービスのグループホームの定員設定の考え方について迷うことがあるので、少し論点を整理してみたいと思います。

まず、グループホームは地域に点在するような形で、住宅地に溶け込むような立地で整備することが原則であり、どちらかというと新築物件よりは既存物件の活用がテーマになっているかと思いますが、このところ消防法が年々厳しくなってきておりますので、ご利用者の障害支援区分の割合によってはスプリンクラー設置が義務となるホームも出てきつつあります。

かと言って今のホームに簡単にスプリンクラーを設置することができず、新築して移転するのか、パッケージ型の消火器などをそろえて消防法をクリアするのかなど、対策はいくつか考えられると思います。

ただ、現行法においては新築する場合は定員10名が上限であり、同一敷地に2棟新築して定員20名というような形では整備不可能かと思います。

これは都市部などの特例で本当に土地が少なくて土地の確保が困難な場合に、相談支援機能やショートステイなどもあわせて整備することが要件になるかと思われ、これだけの規模の事業ですと都道府県や市町村の障害福祉計画に織り込まれていないと難しいかなと思います。

同一敷地の考え方については、少し古い資料ですがこの厚労省の資料の5ページが分かりやすいかと思います。

●厚生労働省 第6回 平成25年9月17日
 障害者の地域生活の推進に関する検討会 資料4

原則はこれで考えればよいのかなと思います。

地域に点在している場合は、新築は10名という縛りを守って各地に新築すれば大丈夫ですが、収支予算上はなかなか厳しくなると思うので、補助事業で進めるのか、地主の協力を得て進めるのか、方法としては結構難しい面があるとは思います。

近接地扱いで、公道を挟んでいれば新築2棟を新築しても良いかと思いますが、建築コストはどうしても高くなりますので、これも収支予算をしっかりと考えて計画する必要がありますね。

同一敷地内に2棟新築するケースについては、自治体によっては条例で規制とあるので、管轄の担当部署に確認しに行く、あるいはその地域で前例があるか確認するしか方法が無いように思います。
※平成25年9月17日時点の情報です。

この資料は全て参考になる内容ですね。


同一敷地に複数のグループホームを新築することが難しい場合、処遇上どうかと悩む場合などは、例えば近接地に生活介護や就労継続支援B型を整備できないかと考える方もいらっしゃるかと思います。

しかしこれについては、この岡山市の資料が参考になるのでこれでまずは堅い判断をし、そこから可能性を模索していくしか無いように思います。

●岡山市 指定共同生活援助事業の実施に関する取扱指針

この資料の7ページから9ページが参考になる部分で、いわゆるグループホームと日中系サービスの併用に関しては、介護保険サービスのように同一建物減算を受けてサービス提供するような考え方は基本的に無理で、要件がいくつか存在します。

おそらくですが、グループホームを整備して地域に溶け込むように共同生活住居を整備しようという理念原則から逆行し、施設入所支援のような形になってしまうため、同一敷地でグループホームと日中系サービスを整備してご利用者が併用するという形は避けたいのだと思います。

この考え方については賛否両論あるかもしれませんが、現行の基準などから考えますと、同一敷地ではなく少し離れた、通うのに適度な距離でそれぞれを整備すれば、ご利用者が通うことの支援をしたりできるのではないかとも思います。

障害種別や手帳の判定、支援区分などによっては難しい方もいらっしゃると思いますが、やはりご利用者のニーズに合わせて整備し、運営できるように組み立てていくことが重要なのだと思います。

もうすぐ報酬改定があり、自立生活援助や就労定着支援など新しいサービスが誕生しますので、平成30年4月までどのような動きが出てくるか、注目したいと思います。

※ 平成30年度報酬改定チームの資料に「重度対応型共同生活援助」という新たな類型について検討されているページがあるので要チェックです。

 平成29年9月6日 第8回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料3
 13ページ(PDFだと14ページ)

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