共同生活援助の定員について

当会には毎日いろいろなご相談が寄せられるので、できれば頻繁にこのブログをアップして情報提供などをして、少しでもお役に立てればと思います。

今日は障害福祉サービスの共同生活援助(グループホーム)の1つの建物の最大定員に関するお話です。

普通に法令から判断しますと、新築の場合は建物一つの最大定員は10名であり、既存物件は最大20名まで、新築でも特別な場合は定員20名までに設定できたり、定員30名まで設定できたりします。

しかし、ユニットの定員が8名以上になると減算になりますし、サービス管理責任者1名あたり最大定員30名までという要件もありますので、例えば中古物件ばかりで定員6名のグループホーム建物を5か所に点在させて展開するなど、減算されないようにバランスを取る方法を考える事業者の方が多いのではないでしょうか。

新築で定員10名とするなら、ユニットは2つに分けて5名ずつにするなど、減算されない方法で計画するかと思います。

もともと共同生活援助については、できる限り地域に溶け込むような設置の仕方をするべきという考えのもと、例えば民家を改装して定員4名のホームを5か所ほど点在させて展開をしたり、新築する場合でも定員5名のユニットを2つ設けるか、定員7名の1ユニットに短期入所を1名か2名定員で併設(併設型ショート)するなど、10名を超えるような大人数のホームは積極的には想定されていないのかなというように思います。

ただ、こうした定員設定をする際には、やはり根拠法令や根拠とする通知文書等が存在しますので、一通りご紹介いたします。

●平成25年9月24日 社会保障審議会障害者部会(第51回) 資料3 17~19ページ

 特に19ページの図が分かりやすいですね。

 地域に点在しているのが本来の形であり、公道を挟んでいる場合なら近接地ということでOKという解釈のようです。

 ただ、同一敷地内の場合は各自治体に確認、同一建物の場合は出入口を別々にしてもダメというような状況です。

●平成26年3月31日 障発0331第51号 別紙2 

 この144ページ 第十三の2(3)の①から⑤を読み込むと全て書いてありますが、①の文中に「基準第210条第4項及び第5項に規定する・・・」とあるので、これも合わせて見ていきましょう。

●平成18年9月29日厚生労働省令第171号 障害者総合支援法に基づく人員、設備及び運営に関する基準(最終改正平成29年2月9日)

 第210条第4項と第5項のみ見て頂ければ大丈夫ですが、第4項を見れば原則最大定員10名であることと、既存の建物を活用する場合は最大定員20名、都道府県知事が特に必要と認める場合は最大30名と規定されていることが分かります。
 ただ、都道府県知事が特に必要と認める場合ということに関しては、具体的にどういったケースを指しているのか量りかねますし、まず難しいだろうなあという印象です。
 第5項に関しては、既に運営しているグループホームを改築する場合のことを規定しているようですので、改築を機に定員を増やすことはできない、改築前の定員が最大定員となるという解釈でよいのかなと思います。

 
 障害福祉サービスのグループホームは不足している地域も多く、設置を望む声も多く聞かれるようになってきましたが、人員配置が難しく、事業収支が厳しいこともあり、なかなか運営しようという事業者が増えないという感じがします。
 
 補助金の活用や有志による寄附、内部留保がある社会福祉法人による社会福祉充実計画に織り込んでもらうなどといったことも考えるのですが、結局は難しいですので、現状は建築基準法や消防法をしっかりと理解し、これらの法律をクリアした上で中古既存物件を活用して展開をしていく方法が一番良いのかもしれません。

 実際にスピード展開を進めている事例では、このような既存物件の活用による方法が一つあるのかなというように思います。

 自治体によっては既存物件の活用を進めているところもあるので、日本全体における空き家対策等とも関連付けて考えていくと良いのではないかと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

サービス管理責任者の兼務可能な範囲について

企業主導型保育事業の消費税仕入控除額報告(助成金の返還)

企業主導型保育事業における会計の注意点