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精神病院からの地域移行支援と居住支援

厚労省が、精神科の入院に関して、強度行動障害を対象外とし、訪問看護で対応する方針を検討しているようです。 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6552526 ⚫︎精神疾患に係る医療提供体制についての検討会資料 https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001557884.pdf 正直言いまして、現在は、精神訪問看護は週に3回とか、1回30分とか、そういったサービス提供が中心なのかなと思うので、どう考えても訪問看護では全く対応しきれないような気がします。 ちなみに、「地域で拠点となる精神訪問看護事業所」の制度を創設する予定とも報道されておりますが、どこまで対応できるのか、これも難しいだろうなと思います。 訪問看護をするとなると、以前のように精神病院の隣に支援付きアパートを建ててそこへ退院させるような、たくさんの団体に非常に反対された方式とほとんど変わらない方式を取るようにと、また言い出しているのかな?と思うと、やはり精神病院やその周辺の現場の実情をもう少し理解していただきたいなと思います。 ⚫︎2014年当時の大阪精神医療人権センターの意見書 https://www.psy-jinken-osaka.org/wp/wp-content/uploads/2016/07/proposal-141213.pdf こちらの意見書は、いわゆる病院敷地内グループホームについての反対意見ですが、精神病院からの退院に係る地域移行支援については、もっと障害福祉サービスの「地域移行支援」の利用促進を図る政策が必要と思います。 医療の分野としまして、医科、歯科のうち、医科においては、内科、外科、整形外科、眼科、耳鼻科、皮膚科など、たくさんの診療科がありますが、精神医療はこれらの診療科とは別といいますか、地域において医科の中でも特別な地域で独立して発展してきたような医療機関もたくさんあるように思っております。 いわゆる精神病院ですね。 精神科と心療内科を専門としてこれらの科が強く発展してきている病院といいますか。 最近になって、精神科の発展、収益性などが外の世界から見ると良さそうに見えるのか、総合病院精神科という考え方も広まりを見せております。 ⚫︎総合病院精神科 https://www.mhlw.go.jp/content/...

最低賃金と企業経営(医療機関、介護保険サービス、障害福祉サービス、保育所等)

さて、いよいよ来月から岐阜県は最低賃金が 1,065円 となります。 〇 岐阜県の最低賃金過去最大1,065円へ 昨年は1,001円となって1,000円の大台を超えましたが、今年はさらなる上げ幅で、政府が言っている最低賃金1,500円の時代がもうすぐそばに来ていると思います。 我々企業経営者は、 「あぁ、今年も上がったな。」 ではなく、真剣に5年後、10年後を見据えた経営戦略の見直しが必要になります。 今回、岐阜県の最低賃金が上がるのがなんと10月18日からと中途半端。 時間給の職員で基本給が上がる方については、まさか10月18日から昇給という雇用契約をする企業はあまりないだろうと思いつつも、普通にそのように計算する企業も出てくるだろうと思います。 また、ここにきて、扶養の範囲内で働きたい層に関しては、よくわからない現象が発生しつつあります。 週20時間以上の雇用で雇用保険への加入、週30時間以上の雇用で社会保険への加入(従業員数51人以上の企業は週20時間以上)が義務付けられている訳ですが、例えば月80時間ぐらい勤務して、収入を扶養の範囲内に抑えていた層について、どうなるでしょうか。 時間給が1,100円で80時間勤務して月額88,000円に抑えていた職員で、雇用保険に入っていた場合、最低賃金の上昇によりベースアップが行われ、ほかの1,001円の職員が1,065円になるのだからということで、1,170円に昇給してもらったとしましょう。 しかし月額88,000円に抑えたいという話になりますと、  88,000円÷1,170円≒75.2136752・・・=75時間 しか勤務できなくなり、雇用保険の資格を喪失します。 (そもそも従業員数51人以上の企業だった場合は社会保険に加入していたはずがこれも資格喪失か) ニュース等でよく報道されていますが、扶養の制度を同時に改正しないと全然ダメだというのがこの話の一部でもあり、いわゆる働き控えが発生し、企業にとってはシフトを組むだけでもさらなる苦労が待っており、結局1人非常勤雇用をしないといけなくなるなど、最低賃金の上昇によって社会保険、雇用保険にも影響がでることになります。 扶養への逆戻り現象ですね。 これ、仮に税制が今と変わらず、時間給が1,500円になった場合はどうなるでしょうか。  88,000円÷1,500円≒58.66...

障害福祉人材確保・職場環境改善等事業費補助金の実績報告

さて、年度はじめに障害福祉人材確保・職場環境改善等事業費補助金の申請をした事業所については、そろそろ実績報告の準備が必要です。 ただ、この補助金の実績報告期限については、都道府県によって期限が異なるようです。 神奈川県は8月末、愛知県は11月末、岐阜県は令和8年1月ごろ、静岡県や島根県はまだわかりません。 ※静岡県は8月20日とのこと 実績報告に関しては、基準月として申請した月から実績報告期限の月までに支払った費用が対象になることから、都道府県によって期間がこれだけ異なるとなんだか不公平な気はします。 人件費に充てる場合は、ベースアップに充てることは基本的には想定されないため、別途一時金として支給するケースが多いだろうと思われ、パンフレットでは例によって1人54,000円というような目安の金額が示されてしまっており、なかなか困るなという印象です。 今までにこの補助金に関するQ&Aは2回出ていますが、2回目のQ&Aが1回目の分も網羅していますので、こちらを参照すると良いです。 https://www.mhlw.go.jp/content/001490716.pdf よくあるご相談としましては、 ①計画申請時に人件費の方にだけ⚪︎を打ちましたが経費にも充てられますか? ②どんな経費が対象になりますか? といった内容になります。 Q&Aを見ると、①については気にすることなく、人件費と経費、両方に充てたりと、変更してもよいと読み取れます。 問題は②で、これもQ&Aを参考にすると、案外対象になる経費の範囲が限定されていて難しいです。 この補助金は、処遇改善加算制度の職場環境要件について、令和7年度から急に要件が厳しくなって、各項目2つ以上、生産性の項目は3以上(うち課題の見える化は必須)を満たす必要が生じたことから、これらの要件を満たすための取り組みに対して補助されるものになります。 そのため、職場環境要件を理解することから始めると、対象になる取り組みの費用が分かってきます。 基本的にハードは対象外なので、組織コンサル、人材コンサル、研修、会議、講演、セミナーなどが充てやすいのかなと思いますし、事務部門など間接部門を増強するために使った求人費用などは対象になるかなと思います。 最後にもう一度申し上げたいのですが、都道府県によってこれだけ実績報告...

企業主導型保育事業の年度完了報告、消費税仕入控除税額報告および専門的財務監査の傾向等

 平成28年から制度が始まってあっという間に10年近く経過してきましたが、この10年で日本の保育・幼児教育分野の環境はかなり変化があったと感じます。  地域差もありますが、認可保育所や幼稚園が認定こども園化していく流れは続いており、コロナの影響もありますが、出生数減少に伴い、年度はじめの0歳児受け入れ人数が顕著に減ってきている地域もありますし、相変わらずの勢いで、年度当初から満員でキャンセル待ちが大勢という保育所もあります。  こうした環境下で、企業主導型保育事業もそれなりにバラエティに富んでおり、非常に人気があって常に満員になる園もあります。  保育業界の将来展望の話は別の機会にして、今日は令和6年度の企業主導型保育事業の年度完了報告や令和5年度の消費税仕入控除税額報告、また5年に1回程度の頻度で行われている専門的財務監査に関して、雑感を書いてみたいと思います。  まず企業主導型保育事業の年度完了報告の傾向ですが、毎年繰り返してきて、平成28年度から数えると令和6年度報告で9回目になりますが、ピムスでの報告にもだんだんと慣れてきているものの、毎年少しずつルールが変わっていますので、よくよく考えて運営をし、会計処理をしないといけません。  特に業務委託費、雑費、手数料などの勘定科目については、きちんと内容を精査し、根拠となる契約書類、またその契約にいたった経緯なども証跡を残しておく必要があります。  社会福祉法人であればこのあたりは普段から慣れ親しんでいる訳ですが、その他の法人格の企業については、なじみが薄い部分です。  業務委託費については、あらかじめチェックリストに詳細を記述しなければならない等、なかなか大変になりました。  企業主導型保育事業の会計に関する独特の処理といたしましては、本部人件費、法人税の按分計上、各種専門家(税理士、社労士、弁護士等)の顧問料の按分計上、資産の購入支出の計上、積立金の計上・取り崩し、雑収入等の実費収入等に対応する経費のマイナス調整(職員から控除する給食費の調整他)、自治体からの補助金を充てた費用のマイナス調整など、社会福祉法人の会計に似ているもののちょっと独特な取扱いもあったりと、会計の専門家でも苦慮するケースがあります。  また、部門別会計をして保育園のみの採算を見るのは当たり前なのですが、部門別の貸借対照表の作成まではできな...

障害福祉サービスの報酬適正化に関する考察

ここにきて財務省が障害福祉サービスの報酬の適正化について、指摘をしています。 「 財務省、障害福祉サービスの構造問題を提起 」 障害福祉サービスについては、マニアックなサービスで、全容がよく分からないという風潮があるかなと思いますが、実はよく考えて制度設計されております。 その中でも、ローカルルール、独特の加算制度の要件など、勉強熱心な方々からすれば、いくらでも改善の余地が見出せる状況のなか、いよいよ財務省も動きを強めています。 相対的にみれば、障害福祉サービスの予算の伸び率は顕著であり、なぜこうなっているのかという観点で、国は財務情報、収支差率のデータ収集からスタートしている訳です。 こうしたせめぎ合いについては、当たり前の事ではありますが、障害福祉サービスだけでなく、保育サービスの地域型保育事業の収支差率についても言及されており、誤解をおそれずにいえば、儲かっている事業はこれで、ここは予算を抑制して、全体のバランスをとりながら、基本的には抑えていくんだということが、国の予算設計の趣旨だと思います。 具体的な言及は差し控えますが、時すでに遅しではございますが、明らかに指摘されることに関していえば、やはり就労系サービスの就労移行支援体制加算や施設外就労、在宅支援サービスに関連する一連の制度に関することでしょう。 この加算制度等については、法律・基準は守っておりますが、とんでもない利益を叩き出していますという企業が複数存在することは事実であり、 令和7年3月31日付のQ&A を見ても、国の方は急いでルールを作ろうとしている思惑が見てとれます。 いつの世もいわゆるイタチごっこはある訳で、こうした制度に詳しいとバレますと、私どもには問い合わせが殺到する訳であります。 が、適正かつ適切、そして法令遵守をもとにして、ご利用者を最優先する考え方こそ、最も重要であると私は思います。 今の時代はAIが台頭し、ChatGPTに聞いてからコンサルに聞けば良いという方法が一番合理的で、そのうち私どもも事業に苦労する時代が訪れると思いますが、障害福祉サービスのフロンティアもそろそろ見えなくなると思われます。 私どもはいよいよ最新医療と地域福祉に目線を移して、実はすでに活動している訳でありますが、これもまたもって3年でしょう。 日本の医療福祉はまさに戦国時代だなと常々思います。

企業主導型保育事業のM&A(事業譲渡)について

令和6年度はここ最近で初めて、全国の保育施設数が減少に転じた年度でした。 今後、保育業界はどうなっていくのか、コロナの影響による子どもの出生数の減少の影響が大きく出ている地域もありますが、やはりM&Aや事業譲渡の案件が増えてくると考えられます。 その中で、企業主導型保育事業については、平成28年度に始まった事業ではありますが、毎年2回ほど不定期で行われる財産処分手続きにおける事業譲渡の手続きにて、実際に譲渡されるケースがあります。 弊社は毎年2、3件ほど事業譲渡を手掛けておりますが、国の補助事業として整備されている認可外保育施設ですので、特に 財産処分手続 については熟知しておく必要があります。 売主の気持ちはわかるのですが、いろいろ考え方もあるとは思いますが、補助事業である以上は、その場所で一定の役割を果たすことを期待されて補助されている訳であり、基本的に高く売るような事業ではないので、この 財産処分手続 についての理解をしておかないといけません。 弊社が今まで取り組んできたケースはだいたい以下のとおりですが、すべて無償譲渡ばかりです。 ① グループ再編によるグループ内での移管をするための事業譲渡 ② 本業に専念するための事業譲渡 ③ 採算が確保できないため経験のある企業への事業譲渡 やはりその地域の子どもとご家族のためにどうするのか、という視点が重要で、それを支えることができる企業が企業主導型保育事業を行うということが、大原則ではないかと考えます。

障害福祉人材確保・職場環境改善等事業補助金について

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令和7年度の処遇改善計画書の作成真っただ中の事業所も多いと思いますが、今回、この処遇改善計画書とともに、タイトルの「障害福祉人材確保・職場環境改善等事業補助金」の申請も併せて行う法人が多いと思います。 令和6年度までは、介護保険サービスと障害福祉サービスとで「職場環境等要件」を満たしている項目数の必要数に差がありましたが、令和7年度からは同等になりますね。 特に6項目のうち「生産性向上のための取組」の項目については、必須項目が存在すること(介護保険サービスと障害福祉サービスとで微妙に異なります)や、この項目だけ3以上の取組が必要になることなど、注意が必要です。 今回、令和7年度の処遇改善計画書を作成するにあたって、この職場環境等要件を満たせず、処遇改善加算ⅠやⅡが算定できなくてⅢやⅣに落ちてしまう事業所が続出するのではないかと心配しておりましたが、タイトルの「障害福祉人材確保・職場環境改善等事業補助金」を申請することによって、令和7年度中の職場環境等要件の適用が猶予されるようです。 1年間かけて、職場環境等要件についての取組を行うことができますので、その点は一安心です。 とにかく現場の課題の見える化だけは必ず取り組んでいくとよいですね。