障害福祉サービスの訪問系サービスに「いよいよ規制」の気配(居宅介護・重度訪問介護の同一建物減算見直し)
さて、2026年9月24日に開催された第63回障害福祉サービス等報酬改定検討チームで、令和9年度報酬改定に向けた訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護など)の論点が示されました。
訪問系については、正直なところ「いつか手が入るだろう」と思っていた部分に、ついに厚労省が注目するようになった印象です。
まず、居宅介護の同一建物減算です。
現行は、①事業所と同一敷地内・隣接敷地内の建物に住む利用者は10%減算、②それ以外でも同じ建物に20人以上住んでいれば10%減算、③同一敷地内等で50人以上なら15%減算、という3区分になっています。
今回の資料では、障害者向けのシェアハウスとして運営し、そこに障害者を集めて支援している事例が散見されるとして、この要件そのものを見直す方向性が示されました。
減算率を上げるのか、人数要件を下げるのか、細かい設計は年末にかけて詰めるとのことです。
もう一つが、重度訪問介護です。
こちらは現在、同一建物減算がそもそも存在しません。
ところが資料によれば、同一建物の集合住宅に住む利用者への訪問が80%以上を占める事業所が10.7%あるとのことで、居宅介護と同様の減算の仕組みを新設することを検討してはどうか、と明記されました。
事業所の目の前のアパートに利用者を集めるビジネスモデルは、重度訪問介護でも成り立たなくなる可能性が高いということです。
なぜ今このテーマを話題にするのかは、数字を見るとよく分かります。
令和7年度の重度訪問介護の費用額は約1,820億円、利用者数は14,416人です。
令和8年4月時点の利用者1人あたりの費用月額は平均で1,067,502円、100万円以上の利用者が41%、月の平均利用時間は260時間に上ります。
24時間・2人介護といった支給決定になれば、1人あたりの給付費が1か月で相当に高額な金額に達するケースも実際に存在します。
介護保険では要介護5の区分支給限度額が月36万円程度ですから、まさに桁が違う世界です。
そして、この支給決定には行政管轄ごとのローカルルールが色濃く出ます。
月720時間、つまり1日24時間の重度訪問介護が認められる地域もあれば、1日8時間×30日で月240時間が事実上の上限になっている地域もあり、同じ障害支援区分6の方でも住む市町村によって支給量が3倍違うということが普通に起きております。
その上限が告示や通知のどこに書いてあるのかと聞かれると、実はよく分からないというのが現場の実感で、おそらくは各自治体の予算事情によるところが大きいのだろうと思います。
私自身、こうしたローカルルールについて研究をしておりますので、この点は今後も継続して取り上げていきたいと思います。
もちろん、重度訪問介護は本来、重度の障害があっても地域で暮らすために欠かせないサービスです。
問題は、そのお金の規模に対して、支給決定の妥当性や事業所の提供実態をチェックする仕組みが、これまで弱かったことにあります。
資料には、障害支援区分1・2の利用者に対する家事援助での長時間利用(1回あたり概ね1時間以上の相談目的など)は原則として支給決定しない、という従来からの考え方も改めて載っており、市町村の支給決定の運用にも目が向けられていることがうかがえます。
ここから先は私の見立てですが、令和9年度改定で入るのは同一建物減算の見直し・新設までで、支給量そのものの上限のような直接的な規制は、まだ先だと思います。
それから、このところ施設入所支援に関する話も少し浮上してきており、今まで施設入所支援は新規では一切増やさないとしてきた流れが、もしかしたらなんらか変化が起きるかもしれないとも感じます。
具体的にいえば、増え続けている共同生活援助が、こうした訪問系サービスをたくさん利用する、利用せざるを得ない方の受け皿になることができていない面も少なからずあり、やはり施設入所支援が重要なのではないか、という観点です。
当然、在宅で過ごしたい気持ちは優先すべきですが、ここまで費用が増大していると、いろいろな変化が起きる可能性はあるかと思います。
いずれにしましても、訪問系サービスについては、一度データが表に出た以上、国保連データを使った事業所単位の給付実態の把握や、指定権者による集中的な運営指導の対象になる流れは発生してくるでしょう。
訪問系の事業をされている法人におかれましては、まず自法人の利用者のうち、同一建物・同一敷地内に住んでいる方の割合を把握しておくこと、そして重度訪問介護で1人あたり月100万円を超える利用者について、支給決定の根拠(サービス等利用計画、アセスメント、実際の提供記録)が説明できる状態になっているかを確認しておくことをお勧めします。
減算が入ってから慌てるのではなく、今から数字で自分の事業所を見ておきたいところです。
第63回検討チームの資料は厚労省のホームページで公開されておりますので、訪問系の事業をされている方は一度目を通されることをお勧めします。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76339.html)
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