投稿

12月, 2020の投稿を表示しています

企業主導型保育事業の「改修支援加算」および「改修実施加算」について(令和2年度事業で内示を受けた園が対象)

さて、令和2年度企業主導型保育事業の内示については、おそらくほとんどが出そろった状態かなと思います。 弊社が直接ご支援をした12社さまについては、12社さまとも内示を得ることができ、成功率100%ということで良い年末を迎えられそうです。 ただ、内示を得たのもつかの間、今回テナント改装をして補助を受けると申請した園については、平成30年度事業までのように整備費での補助ではなく、運営費での補助を受けるルールに変わっております。 これが非常にややこしい取扱いになっており、このブログでも再三ご紹介はしたのですが、昨日、対象となる事業者さま宛に通知文書が届いたようです。 令和2年度事業においては、テナント改修工事の補助は「改修支援加算」による補助になるのですが、上限1,500万円(各種加算のことは今回考えずに書きます)の「改修支援加算」を1年あたり150万円受給し、これを10年続けて受給する形となります。 そのため、毎年の運営費の年度完了報告内容によって、この加算の取扱いが変わるのですが、これがどのような取り扱いになるか、明確に示されていませんでした。 このことについて、昨日届いた通知文書にはこのようなことが書かれておりました。 (以後は分かりやすくするために、1,500万円を1年150万円ずつ受給するイメージで書きます。必ず150万円もらえる訳ではありません。) ①開園前に借入をして、開園後に返済する借入金と利息が助成対象  → 年度完了報告時に150万円までなら「借入金元金償還支出(支払利息含む)」を計上可能。 ②開園前に借入をして、開園前に返済した借入金と利息も助成対象  → 年度完了報告時に「改修立替支出」として「借入金元金償還支出(支払利息含む)」と合計して年間150万円までなら計上可能。 ③開園前に自己資金一括で支払った場合も助成対象  → 年度完了報告時に年間150万円までなら本部繰り入れが可能だが、「改修立替支出」として支出計上する。 ④5年で借入金を完済してしまった場合も引き続き受給可能。  → 仮に5年で借入金を完済してしまっても、6年目以降は「改修立替支出」を年間150万円まで計上可能。 ⑤金銭消費貸借契約書があれば、金融機関ではなく、代表者個人やグループ法人からの借入金も可能。  → ただし、同一法人内での借入は自己資金扱いとなる。 ⑥「改修支援加算」

企業主導型保育事業 内示決定通知(令和2年度新規事業)の状況2

イメージ
さて、12月16日以降、続々と企業主導型保育事業(新規募集)の内示決定通知が届いているようですね。 今回、弊社では18件の申請をご支援いたしましたが、18社のうち8社に内示決定通知が届きまして、10件は審査中という状況です。 ※ 令和2年12月19日 15:00現在 これまで、新設、改修を問わず、順番に内示決定通知が届いておりまして、弊社が関わる企業さまの関係でいきますと、だいたい以下のような感じです。 ・10月21日 第1号内示通知 ・11月20日 新設2件 ・11月30日 改修1件 ・12月16日 改修1件 ・12月17日 新設1件 ・12月18日 新設1件、改修1件 新設の場合は、助成金額(工事予定金額ではないので要注意)が1億円未満で坪単価が高い場合は、相見積もりや入札などによって不相当に高額にならないようにしないといけませんと通知が来ている様子です。 助成金額が1億円を超える案件については、そもそも内示を受けてから入札を行うため、そのような通知は来ておりませんね。 改修の場合は、今回から「改修支援加算」「改修実施加算」といった運営費の加算メニューによる工事補助となるため、開園後に発生した費用のみが対象になるということです。 そのあたりもふまえて考えますと、毎年の運営費の年度完了報告内容によっては、「改修支援加算」や「改修実施加算(初年度のみ)」を受給したのに、結局は積立金を計上しないといけなくなる可能性もあり、事実上、工事への補助が積立金に変わってしまう事例も発生するのではないかと思われますが、そのあたりの不透明感がぬぐえていない印象があります。 今の段階ですべてがクリアになっている訳ではありませんが、あくまでも弊社の考えですが、改修案件についてはだいたい以下のようなことは言えると思います。 ① 内示を受けたら内示を受けた保育園専用の通帳を先につくる。 ② 絶対に開園前に工事代金の一括払いはしない。   (開園後の一括払いは問題ないのか確認中。) ③ 工事代金の支払いは、必ず①の新しく作った、新しい保育園専用の通帳から行う。   また、支払方法については、インターネットバンキングは使用せず、必ず銀行窓口へ行って複写の振込書を用いて振り込む。 ④ 借入金を調達して開園後から10年で返済したほうがよい。(改修案件については「元金償還金支出」や「支払利息支出」を

企業主導型保育事業における労務監査基準について(労務指導監査の開始)

さて、どうやら企業主導型保育事業の労務監査が本格化するようで、一部の園にはすでに監査日時のご連絡が入っているようです。 企業主導型保育事業については、毎年の通例の指導監査のほか、財務監査、労務監査も実施していくこととなり、財務監査と労務監査については、全国どこの園であっても5年の間に1度は行われる見込みのようです。 こうした監査への対応を考える場合には、やはり専門家への依頼も有用で、特に労務監査については、社会保険労務士の先生と相談をしながら取り組むと良いと思います。 本業が多忙でなかなか対応できない場合は、こうした対応も連携推進員ができるとよいですし、そのような人財をいかに確保しておくかが重要です。 正直なところ、社会福祉法人の認可保育所並みかそれ以上の細かさになると予想されますので、これを良い機会と捉えて、企業全体の労務管理レベル、財務管理レベルを上げていくつもりで取り組むのが良いのではないかと思います。 なお、財務については、やはり社会福祉法人会計に詳しい税理士の先生か公認会計士の先生にお願いをすると良いです。 さて、今日は労務監査のことなのですが、まずは労務監査基準を一通りチェックをしまして、特に漏れが多いところを重点的に触れていきたいと思います。 参考: 企業主導型保育事業における労務監査基準 1 就業規則   企業全体で同じものを適用しているケースもあるかと思いますが、やはり保育園専用の就業規則を作成・届出しておくと良いと思います。   特に、以下の項目が漏れていることが多いので、チェックをしておくとよいです。 (1)公益通報者保護の規定 (2)正規雇用転換規定 (3)ハラスメント規定(セクハラ、パワハラほか)   あと、これは案外初歩的なことですが、非常勤用の就業規則が無いケースがあります。   これについては、パート、アルバイトにも賞与や退職金を支給しないといけなくなるリスクがあるかと思いますので、別途作成・届出をしておくとよいです。   それから、パート、アルバイトにも処遇改善手当を支給したいといった場合に、非常勤職員の給与については非常勤職員就業規則に定めてあって、そこに処遇改善手当のことが書かれていないケースもかなり多いので、処遇改善加算を申請している園については、要注意かなと思います。 2 24協定と36協定   36協定は毎年のことなのでち

処遇改善加算制度と法定福利費料率

さて、今日は処遇改善加算制度について、少し考える機会がありましたので、記事にしてみました。 介護保険サービス、障害福祉サービス、認可保育所(認定こども園、小規模保育事業含む)、企業主導型保育事業など、福祉サービスにはこれらすべてに処遇改善加算制度があります。 事業所によって算定している事業所と算定していない事業所があったり、それぞれの制度で取り扱いがバラバラになっていたりしますが、今日は、法定福利費の事業主負担分の計算について考えてみました。 どの分野の事業であっても、だいたい処遇改善加算は最初に計画書を提出して、最後に実績報告書を提出するかと思います。 介護と障害はだいたい時期は一緒ですが、保育はまた時期が全然違います。 ところで、処遇改善加算の実績報告をする際には、法定福利費の事業主負担分の増加分については、処遇改善加算を充ててよいということは、どの分野でも共通しています。 が、退職手当共済制度等における掛金については、保育園は含めて計算してよいと言われることが多いのですが、介護や障害は含まないものとするとなっています。 保育のほうは、 こちらの資料の4ページ の一番下のほうに書いてある訳ですが、介護のほうは、 こちらの資料の2ページから3ページにかけて、(問7)に対する回答という形で書かれているところ の最後の方に、(例えば退職手当共済制度等における掛金等)については含まないものとすると書かれている訳です。 それから、じゃあ法定福利費料率は何%ぐらいで考えるのかという点についても、分野によって結構違っていまして、例えば介護保険サービスや障害福祉サービスは、おそらくですが、この 2009年の資料の(問7) にある、 「また、法定福利費等の計算に当たっては、合理的な方法に基づく概算によることができる。」 という一文が根拠となって、みなさん概算で報告することとなっているのかなとは思います。 このことについては、 香川県のこちらの資料の3ページ13番 でも、その趣旨が継続されているなということはなんとなくわかるわけです。 ただ、介護保険サービスの場合は都道府県によってローカルルールも存在するようで、例えば 佐賀県のこの資料 を見ますと、処遇改善手当等による処遇改善によって社会保険の等級が上がって、標準報酬月額が上がった場合のみを想定している都道府県もあるようです。 認

企業主導型保育事業 内示決定通知(令和2年度新規事業)の状況

さて、令和2年度企業主導型保育事業の新規申請については、10月下旬より随時内示通知等が交付されていますね。 弊社は現在53件の企業主導型保育園のコンサルティングを行っており、令和2年度新規申請については、18件の開業支援を行っておりますので、71件のコンサルティングを行っている状況です。 こうしたネットワークのおかげで、今回の令和2年度新規申請について、弊社には内示の通知状況の情報が複数入ってきておりますので、インターネット等で得られる情報はなかなか限られているかと思いますし、お伝えできる範囲で情報をお伝えできればと思います。 まず、令和2年10月20日ごろに、第1グループ(令和2年5月29日期限で申請した方)の中でも早めに申請ボタンを押した企業さまから、内示通知書が届き始めました。 このときは、条件付き内示という形で内示通知が行われた企業もあり、書類の修正をしてからすぐボタンを押して、正式な内示をいただくために再度申請しているかと思います。 これについての審査回答はまだ届いていない企業もあるでしょう。 次いで、令和2年11月20日付で、再び第1グループの企業に内示通知書が届いたかと思います。 ここで、弊社のご支援先はほとんどが新築で整備費申請をしていたので気が付かなかったのですが、今回、テナント改修案件は整備費ではなく運営費の改修支援加算および改修実施加算を申請していたと思いますが、この加算の件で非常にややこしい問題が起きております。 が、この件は後でご説明いたします。 その後、令和2年11月30日付で、初めて第2グループ(令和2年6月30日期限で申請した方)の中でも早めに申請ボタンを押した企業さまをメインに、内示通知書が届いたかと思います。 今はこういった状況で、第1グループであっても、まだ審査中の企業や、第2グループに回しますというような保留通知が届いている企業があるようです。 今のところ、不採択通知が届いたという情報は弊社には入ってきておりませんが、今後は第1グループ、第2グループに限らず、審査が完了して採択された企業から内示が出るものと思われます。 さて、さきほどテナント改修の改修支援加算、改修実施加算についてややこしい問題が起きていると書きましたが、助成申請時にはそんな説明はなかったと思うのですが、この改修支援加算は、資金を借入金によって調達をして、開園

企業主導型保育施設に対する指導・監査(労務関係) 労務指導監査

さて、令和2年10月下旬から、全国の企業主導型保育園に続々と指導監査が入っております。 昨年度は1年間、通常の指導監査がほぼ実施されませんでしたので、今回は令和3年3月末までに、既存の園にはすべて指導監査に入る予定で指導監査を実施しているので、クリスマスに指導監査というような園もあるようです。 そんな状況のなか、来年1月からは労務についての指導監査も始まります。 労務の指導監査については、 令和2年10月13日に開催された第8回点検・評価委員会で議題にあがっていました ので、予定通り実施するのだなという認識でいますが、令和5年度末までにすべての事業者を監査するようです。 財務監査は実施機関を公募しているのに、労務は公募せずに全国社会保険労務士連合会に委託するんですね。 まあ、それで良いかなとは思いますが、全国社会保険労務士連合会の事業計画書や収支予算書を見ていますと、この段階ですでに決まっていたのかなとは思います。 事業計画書や収支予算書は、年度が始まる前の3月には上程しているでしょうね。 事業計画書 3ページを見ていただくと、「Ⅳ 行政機関等との連携に関する事業」のところの「3.内閣府との連携に関する事業」という記載があります。 計画の詳細については、11ページの下の方に3行ほどで書かれていますが、ここに労務監査の趣旨は書かれております。 企業主導型保育事業の周知や処遇改善加算についての確認、指導なども含まれているようですね。 収支予算書 を見ていくと、4ページの「4.その他の収入」の「3.委託事業繰入金収入」に記載されている 102,000千円 が企業主導型保育事業の監査における受託金額ですかね。 1億200万円ということでしょうか。 違うかもしれませんが、令和元年度予算額は0円で、令和2年度予算額のみ計上されておりますので、なんとなくこれなのかなとは感じます。 いずれにしましても、全国社会保険労務士連合会は年間収入が104億円強の団体のようですので、全体収入から見てみれば、1%に過ぎない金額ではあります。 こういったお話はさておき、実際にどのような監査が行われるのか、確認してみました。 目的としては、 点検・評価委員会の資料 を見ればしっかり書いてありますが、 ① 労務環境の確認 ② 処遇改善制度の運用状況の確認 こういったところがメインになるかと思います。