2024年度 処遇改善加算の改定について(介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員処遇改善加算)
さて、介護保険サービス、障害福祉サービスの2024年度報酬改定の公開情報がそろってきました。
基本報酬を上げるとの話でしたが、蓋を開けてみれば、基本報酬が下がっているサービスもありました。
しかし、処遇改善加算の加算率については、総じて増額となる内容です。
良い機会ですので、資料をもとに、改定前と改定後の比較をしてみたいと思います。
2024年度 介護職員処遇改善加算
2023年度 介護職員処遇改善加算の状況
介護保険サービスも障害福祉サービスも、総じて1%〜2%は処遇改善加算率が上昇しています。
1事業所あたりで考えると、事業規模や届出状況にもよりますが、毎月3万円から5万円ほど増え、それを職員のみんなにさらに分配する感覚でしょうか。
また、その他の問題としましては、相談系サービス等、処遇改善加算制度の対象外とされているサービスがあり、はっきり言ってそれが実情にそぐわない状況です。
ケアマネジャー、看護職員、相談支援専門員に処遇改善加算を充てることができないため、こうした人材の確保が難しくなってしまっています。
そのような人材の処遇改善については、基本報酬の増額改定で対応していると書かれてはいますが、事業所にそのような余裕が出るほどの基本報酬の増額改定かと言われると、なんともいえない単価ではあり、収入の状況によっては基本報酬の増額の金額がほんの少ししかない事業所もあるでしょうし、十分な制度設計とはいえないように感じます。
平成21年ごろのケアマネ協会とのやりとりにおいて、ケアマネジャーは処遇改善交付金(当時は加算ではなかった)はいらないと辞退したというような噂話は聞いており、それが15年経過した今でも尾を引いているのかと思いますと、やるせない気持ちです。
とにかく、この2024年度処遇改善加算制度の報酬改定によって、職員の昇給、処遇改善に充てていく割合がじわじわと増え、事業所の内部留保相当分はじわじわと減っていく構造ですが、これに対応するためには、
①良い人材をしっかり処遇し定着させる。
②複数法人にて複数のサービスを運営しリスクに備える。(大手はその必要なし)
といった経営戦略になるのかなと感じます。
日本の政策は基本的には大企業優先ですので、そういった面がモロに出ているようには感じましたが、勘ぐりすぎでしょうか。
処遇改善加算は一本化されますが、それはもらったものを払うときに一本化してよいという意味に過ぎないため、はっきり言って事務負担は増大するように感じます。
できれば保育分野のように、令和6年度からは誓約書だけで良いことにしてもらえると良いのですがね…
※ 「こども家庭庁成育局」ウェブサイトより
医療、介護、障害、保育、生活保護といった分野においては、できうる限り整合性をとって、事務負担についても平等性を確保していただきたいと、いつもそう思っております。
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