平成30年4月報酬改定 有料老人ホーム、サ高住などの同一建物減算はどうなるのか

年末となり、30年度報酬改定の情報もどんどん出てきています。

介護保険サービス、障害福祉サービス、そして保育所の運営基準などがどうなるのか日夜チェックをしていますが、今日はよくある有料老人ホーム併設の訪問介護サービスの同一建物減算に関して、報酬改定での影響を考えてみました。

基本的には厚労省の介護給付費分科会の資料を見ればわかることですが、同一建物減算に関しては平成29年11月29日開催の第153回介護給付費分科会4「その他の事項について」の7~9ページにまとめられています。

実はこの同一建物減算に関しては、会計検査院が各地を訪れて調査をしていましたが、会計検査院が出した結論は、公平性が保たれていないので公平にするための措置を講じなさいということでした。

もう少し分かりやすく言いますと、たとえ同一建物減算になったとしても、訪問回数を増やして区分支給限度基準額いっぱい訪問すれば事業者の収入は変わらないので、そのようなプランを立ててサービス提供した事業者が多かったため、利用者からすると自宅でがんばっていると30回しか来てくれないのに対し、施設に入れば同じ自己負担額で33回来てくれる(厳密にいえば施設の利用料があるので同じ自己負担額かどうかはトータルで考えると疑問も残るが)というように、不公平であるので何とかしろということです。

同一建物減算がかかる前の単位数を上限とするべきという話もあり、そうなると同一建物減算がかかるので3回余分にサービス提供しようというような手法は原則取りにくくなってくると思われます。

つまり、語弊があるかもしれませんが本当に減算されるという意味です。

特に生活援助が多い場合は、回数制限も設けて制限を超えて提供する場合は居宅介護支援事業所が市町村にケアプランを届け出るようにするなど、有料老人ホーム、サ高住を運営する事業者には厳しい内容が増えてくると予想されます。

並行して居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーが必須要件となる可能性もあり、居宅介護支援事業所を併設している有料老人ホーム・サ高住にとっては人材確保が困難となること、たとえ主任ケアマネジャーを確保したとしても今までと全く同じような運営方法ができるかどうかということなど、いろいろなことが起きると思います。

施設によっては居宅介護支援事業所のケアマネジャーが有料老人ホームの入居者との初回契約業務を行っているようなところもありますが、これも微妙な話になってくるかもしれませんね。

そうすると事業者は有料老人ホームの契約担当者を代えるのかなど、人事も考えなければなりません。

経過措置が設けられるようなこともあるとは思いますが、有料老人ホーム、サ高住の運営事業者は対応を考えないと減収することは必至ですので、やはり共生型サービスや障害福祉サービス、児童福祉サービス(保育所)なども横展開で運営し、地域の福祉ニーズにまとめてワンストップで応えることができるコミュニティづくりをしていく必要があるのではと個人的には感じます。

学童保育、総合事業、地域生活支援サービスのほか、飲食店、塾、パソコン教室、エステサロンなど、いろいろな機能を考え、人が集まる場所づくりをしていかないといけないかもしれません。

今、国の政策は保育園に力を入れていく方向が明らかなので、いろいろな企業が保育園事業に参入していますが、保険サービスにとどまらない事業の組み立てがどんどん生まれてくると思います。

話がそれてしまいましたが、同一建物減算に関しては本当に減算されて減収するかもしれないということを考えて事業計画を立案していく必要があるように思います。

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